こんにちは!元公務員のHiroshiです。
いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今回は「高卒公務員と大卒公務員の比較」がテーマです。
公務員の場合、各自治体には高卒程度の区分で入庁する方と、大卒程度の区分で入庁する方がいます。
どちらも同じ職員(公務員)であることには変わりないのですが、具体的になにが違うのか、逆に変わらない点はなにか気になる方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、大卒公務員と高卒公務員について、給料・出世・仕事内容・難易度の4つの観点から比較していきます。
元県庁職員の僕自身の経験からお話しするので、1つの参考になれば幸いです。
※動画でも話しているので、あわせてご覧ください。
(多少内容が違うので、違った楽しみ方ができるはずです)
高卒公務員VS大卒公務員 ①給料(初任給・年収・生涯賃金)
まず1つ目に、給料などの収入面の比較をしていきます。
より分かりやすいように、初任給・年収・生涯賃金の3つに分けて説明します。
大卒・高卒公務員の初任給の違い
まずは初任給から。
1つの参考として、2019年の東京都庁職員(行政職)の初任給を見ておきましょう。
大卒(新卒) | 220,400円 |
高卒(新卒) | 174,700円 |
※俸給+地域手当(20%)
※ここから住宅手当や時間外勤務手当などが加算
上記のとおり、大卒と高卒ではだいたい4〜5万円ほど差があります。
公務員の給料は基本的に年齢をもとに決められるので、これは入庁時の年齢の差(大卒22歳・高卒18歳)と考えればOKです。
なので、高卒の方も4年ほど勤務すると、大卒の新卒と同じだけの給料がもらえます。
大卒・高卒公務員の年収の違い【年齢別】
次に、大卒公務員と高卒公務員の年収の違いについて、年齢別に見ていきます。
ちなみに、総務省が出している「平成29年地方公務員給与実態調査」から算出した金額です。
大卒・高卒県庁職員の年収について
大卒 | 高卒 | |
24〜27歳 | 403万円 | 386万円 |
28〜31歳 | 469万円 | 447万円 |
32〜35歳 | 534万円 | 508万円 |
36〜39歳 | 602万円 | 582万円 |
40〜43歳 | 674万円 | 660万円 |
44〜47歳 | 720万円 | 695万円 |
48〜51歳 | 751万円 | 724万円 |
52〜55歳 | 781万円 | 738万円 |
56〜59歳 | 812万円 | 747万円 |
ちなみに入庁する年齢の都合より、24歳から記載しました。
ご覧いただくとわかるように、40代前半くらいまでは比較的差は小さいのですが、それ以降が徐々に差が大きくなっています。
これは「出世の差」ですね。
くわしくは後述しますが、高卒の方はある程度のところで頭打ちになる一方、大卒の方は課長や部長などにの上の役職に出世していく人もいます。
(高卒公務員の各自治体ごとの給料事情は以下の記事に書いています)
大卒・高卒公務員の生涯賃金の違い
次に生涯賃金で比べたいと思います。
ちなみに、各年齢の年収を順々に足し合わせて算出しました。
都道府県庁職員の生涯賃金の比較
- 高卒:2億6,686万円
(給与:2億4,424万円・退職金:2,262万円) - 大卒:2億6,786万円
(給与:2億4,524万円・退職金:2,262万円)
ご覧のとおり、ほとんど差がありません。
年齢別の年収を比べると大卒の方が全体的に高めでしたが、高卒区分で新卒入庁すると、大卒よりも4年分多く働きます。
そのため、生涯賃金で比べると差がほとんどつかないのはそのためでしょう。
高卒公務員VS大卒公務員 ②出世
2つ目に高卒公務員と大卒公務員の出世の違いについて。
出世や昇進は、基本的に40歳くらいまでは同じです。
一定の年齢になったら、大卒・高卒問わず横並びで昇進するイメージですね。
公務員の出世・昇進を最も左右するのは「年齢」なので、一定までは大卒・高卒問わず年齢を重ねていけば、差はつくことなく自動的に出世します。
高卒公務員は課長級以上は厳しい
ただ、高卒公務員の場合は課長級以上の役職に出世することはほぼないです。
僕のいた県庁でも、部長・次長級は確実に大卒で、課長級にほんの少しだけ高卒程度で入庁した人がいた程度でした。
くわしくは後述しますが、試験の難易度が大卒の方が高いことも原因なのでしょうか…
高卒公務員の方の出世事情については、自治体によって異なる部分はあると思いますが、おそらく他の自治体でも似たり寄ったりなはず。
高卒入庁だと、どんなに仕事ができても出世できない可能性が高いことは、高卒で公務員になろうと思っている人にとって頭に入れておくべきことですね。
高卒公務員VS大卒公務員 ③仕事内容
行政職(事務職)の場合、仕事内容は高卒・大卒に関係はありません。
つまり、大卒だから難しい仕事をするとか、逆に高卒だから業務が軽いとかは特に無いということ。
仕事内容を左右するのは学歴ではなく、「役職」です。
役職が上の人(≒ 年齢が上の人)には相応の難易度・大変さの仕事が割り当てられます。
つまり、大卒・25歳(主事)と高卒・40歳(係長)がいたら、高卒40歳の方が難易度が高い仕事を担当するということ。
イレギュラーなことがあったりすると、下の役職の人が大変な仕事を担当することもありますが、基本的な認識としては上でOKでしょう。
高卒公務員は優秀な人が多い?
これは僕の感覚での話ですが、高卒公務員の人には優秀な方が多かった気がします。
まぁ関わった職員の中では大卒の方が多かったので、一概にどっちが優秀かの比較はできませんが、それにしても高卒公務員の人はデキる人の割合が高かったですね。
理由は分からないのですが、やはり高校を卒業してすぐに公務員になるということは、相応の情熱や覚悟があることの裏返しなのでしょうか。
高卒公務員VS大卒公務員 ④公務員試験の難易度
最後に「公務員試験の難易度」です。
これについては一概には言えないかもですが、単純に「難易度=競争相手のレベル」と考えると、圧倒的に大卒の方が難易度が高いですね。
大卒で公務員になる人って結構高学歴の人が多く、国立大学(旧帝レベルを含む)や早慶・MARCHくらいがボリュームゾーンです。
※詳しくは公務員試験や出世に学歴は関係あるの?【高学歴は多い】で解説しています。
つまり、大卒で公務員試験を受けるということは、世間的に見てかなり優秀な人たちと戦って勝つ必要があるということ。
逆に、高卒区分の試験だと周りの人たちの学力は大卒に比べてグッと下がります。
なぜなら、単純に学力の高い人たちの大半は大学に進学するからです。
さらに、大卒程度の試験は専門試験・教養試験の両方が課せられる一方、高卒程度の試験は教養試験のみです。
専門試験が課せられると勉強がめちゃ大変になり、負担も大きく増すので、その意味でも高卒程度の方が難易度的には下ですね。
高卒で公務員になるのはアリ?【大卒と比較】
上に書いたとおり、給料・出世・仕事内容・試験の難易度の4つの観点から高卒と大卒の公務員を比較しました。
これを踏まえると、高卒で公務員になるのは選択肢として十分アリだと考えられます。
やはり最も大きいのは、大卒と遜色ない収入が得られる点ですね。
事実として、大卒と高卒では収入にかなりの差がありますが、公務員には学歴による収入の差が非常に小さいです。
それでいて、試験の難易度は大卒に比べると低いわけですから、ある意味でお得かと思われます(正しい言い方かは分かりませんが)。
なので、「どうしても公務員になりたい」「公務員になりたいけど、大卒区分では厳しい」というような方にとっては、十分選択する価値があります。
ユースフル労働統計2018によると、大卒・高卒の生涯賃金(男性)は以下のとおりです。
- 高卒:約2億900万円
- 大卒(院卒を含む):約2億7,000万円
上記のように、一般的には生涯賃金には6,000万円以上の差があります。
高卒で公務員になるデメリット
ただ一方、高卒で公務員になるのはデメリットもあるかなと。
- 大きく出世することはできない
- 世界が狭くなりがち
①大きく出世できない
前述しましたが、高卒で公務員になるとほぼ間違いなく課長以上の役職には出世できません。
なので、「自分は成果を出して部長や副知事になりたい」等の野心がある方にとってはデメリットです。
能力に関係なく、試験区分や学歴によって差別的とも言える扱いを受けるのですから、ここを受け入れられる人でないと高卒入庁はおすすめしません。
②価値観や世界が狭くなりがち
高卒入庁ということは、20歳になる前のかなり若いうちから「役所」というある意味閉鎖的な環境に身を置くということです。
そのため、同世代の大学に行った人に比べて、価値観が片寄ったり、視野が狭くなってしまったりする可能性もあります。
大学はある意味モラトリアム期間。
自分の世界を広げるために色々やったり、将来について考えたりする時間ができるので、選択の幅が広がるんですよね。
高卒で公務員になると、そのモラトリアム期間なしで公務員として仕事を始めるわけですから、どうしても世界が狭くなる傾向があります。
ただ高卒で公務員になったとしても、自分でたくさん本を読んだりして視野を広げることはできます。
また大卒で公務員になった人であっても、役所の中で長く働くにつれて視野が狭くなる人だってたくさんいるでしょう。
なので大卒だろうと高卒だろうと、結局はその人次第であるのは否めませんが、1つの傾向として覚えておいて損はないと思います。
高卒公務員になりたい方へ
ここまでご覧いただいた中で、「高卒で公務員になりたい」と思った方は、ぜひ以下の記事もあわせて参考にしてください。
高卒程度の公務員試験の予備校選びについて
高卒程度の公務員試験を受けるにあたっては、基本的に予備校に行って対策をするのがおすすめです。
以下の記事にて、高卒公務員を目指す方におすすめの予備校を厳選してご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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