こんにちは!元公務員のHiroshiです。
サービス残業は嫌だなぁ…
公務員になろうと考える方にとって「残業代がしっかり出るのか」は大きな関心事。
ホワイトなイメージの公務員ですが、そのイメージは真実なのか…
今回は僕自身の経験をもとに「公務員のリアルな残業代事情」を解説します。
本記事の内容
- 公務員の残業代の計算方法・平均金額【地方公務員・国家公務員】
- 残業代から見る、公務員の残業時間
- 多くの公務員はサービス残業をしている!?
この記事を書いている僕は、県庁に勤めた経験を持つ元公務員。
本記事は公式データと僕自身の実体験をもとに書くので、参考になるはずです。
この記事を読めば「公務員の本当の残業事情」が分かり、将来的な職業選択に生かせます。
3分ほどで読めるので、ぜひ最後までお付き合いください。
公務員の残業代は平均いくら?【国家公務員・地方公務員】
公務員の残業代は「時間外勤務手当」として支給されます。
まずは単刀直入に「公務員は平均どのくらい残業代をもらっているのか」です。
前提:公務員の残業代の計算方法
前提として計算方法に少しだけ触れておきます。
公務員の残業代は、基本給をベースにした「時給」と残業を行った時間帯で決まります。
- 平日:時給 × 1.25
- 平日22時以降:時給 × 1.5
- 休日:時給 × 1.35
基本給は「俸給+地域手当+扶養手当」であり、役職や年齢が上がると増えていきます。
公務員は年功序列なので、年を重ねるに比例して残業代も多くなるイメージです。
ただ、課長級以上は残業代がありません(代わりに管理職手当が支給)。
管理職手当はそんなに多くないので、年齢が高い=残業代の時間単価が高い非管理職が最も稼ぎやすいと言えるでしょう。
国家公務員の残業代
国家公務員の残業代は公表されていません。
しかし、平成30年人事院勧告の資料には「残業時間」の記載があります。
そのデータを元に推計すると、国家公務員の月の残業代は以下です。
- 国家公務員全体の平均:52,744円
→平均残業時間は19時間/月 - 本府省勤務の国家公務員:81,059円
→平均残業時間は29.2時間/月
なお、推計した計算方法等は以下の記事に記載しています。
関連記事:【完全版】国家公務員の年収・給料・ボーナス総まとめ
地方公務員(県庁・政令市の市役所)の残業代
地方公務員の残業代は、総務省が発表している「地方公務員給与実態調査」に記載されています。
平成29年地方公務員給与実態調査によると、都道府県庁と政令市の残業代は以下です。
- 都道府県:30,753円
- 政令指定都市:40,325円
注意点として、上記はあくまで「平均値」です。
各都道府県や政令指定都市によってバラつきも勿論あります。
なお、全国の市区町村の詳細データも出ていますが、数があまりに多いので割愛します。
ちなみに、人口が多い市区町村ほど、時間外勤務手当の額が多い傾向がありました。
自治体間における残業代のバラつきを紹介します。
- 都道府県庁
→1位が徳島県:51,600円・47位が長野県:14,100円 - 政令指定都市
→1位が名古屋市:55,600円・20位が北九州市:26,000円
残業代から公務員(県庁)の月の残業時間を計算すると…
地方公務員給与実態調査では「残業時間」に関する記載はありません。
しかし、残業代等から大体の金額は計算できます。
残業代から計算した、県庁職員の月の残業時間
残業代(時間外勤務手当)の金額から、県庁の月の残業時間をざっと計算してみます。
- 時間外勤務手当:30,753円
- 県庁職員の基本給(全国平均):35万4,777円
- 月間労働時間:176時間
- 平均時給:2,015円(基本給÷労働時間)
- 割増率:125%
※基本給などの給料データは、県庁職員の年収・給料・ボーナスまとめで書いています。
以上より、単純計算で県庁の平均残業時間は以下です。
30,753÷(2,015×1.25)≒ 12.2(時間)
県庁の残業代から残業時間を求めると、月に12時間程度であると言えます。
地方公務員の定時は、基本的に「8時30分〜17時15分」です。
つまり、県庁職員は平均して18時くらいには帰れる計算になります。
国家公務員の残業時間
国家公務員の残業時間は人事院勧告資料に記載があります。
- 国家公務員全体の平均残業時間:19時間
- 本府省の国家公務員の平均残業時間:29.2時間
(上でも少し触れたとおりですね)
国家公務員の就業時間は、基本的に「9時半〜18時15分」です。
つまり、霞ヶ関の国家公務員でも平均して20時前には帰っている計算になります。
公務員は残業代が満額出ない?サービス残業?【残業代から考える】
残業代から残業時間を計算すると、地方公務員(県庁)では18時ごろには帰れます。
しかし実際には、本庁勤務で18時に帰る職員は非常に少ないです。
僕は本庁の産業振興系の部署にいました。
全体の中ではそこまで忙しい部類の部署ではなかったですが、課の大半の人が20時位までは残業していましたね。
確かに、出先機関の行政系職員の場合は定時で帰れる方も多いです。
しかし、すべての職員の残業時間をならしても、平均して18時くらいに帰っているのはあり得ないかなと。
必然的に、残業代は満額出ていない=多くの公務員がサービス残業をしていると考えるのが自然です。
国家公務員はもっと残業が多いはず
またデータ上では、霞ヶ関の国家公務員も残業時間が29時間ほど。
しかし、霞ヶ関は「不夜城」と言われるほど、その激務ぶりが有名です。
霞ヶ関に出向になった人も、超激務だったとよく言いますね。
必然的に、霞ヶ関勤務の人が20時前に帰っているデータは信用できないでしょう…
地方公務員・国家公務員ともに、残業時間のデータは「残業代が払われた時間」と考えるのが自然です。
データからはリアルは見えてこないので、注意してください…
公務員の残業代が実際よりも少ない理由
僕の経験上、公務員の残業代の仕組みは以下です。
- 事前or事後にシステムで申請
- 上司が承認すれば残業代が出る
承認されたのに残業代が出なかったということは、僕は一度もありませんでした。
にもかかわらず、実際の残業時間よりも残業代が少なく、サービス残業が多くなっています。
その理由を、僕の体験談をもとに書いていきます。
①:数時間の残業では申請をしない風潮がある
僕のいた県庁では「長時間残業をしないと、残業代を申請してはいけない」風潮・不文律がありました。
僕の体験談
県庁に入庁した直後のある日、僕は2時間程度残業をして7時30分頃に退庁しました。
僕はもちろん「2時間も残って頑張ったのだから」と残業申請を入力。
しかし後日、上司から以下のことを告げられました。
- 2時間くらいの残業の場合、普通は時間外勤務手当の申請はしない
- 3時間以上残業した時に、時間外勤務は申請するように
- 深夜まで残った場合でも、時間外勤務をしたのは22時頃までという感じで申請して
これ以来「定時で帰れる時は早く帰る、残る時はガッツリ残る」と心に決めました。笑
もちろん自治体や部署にもよるとは思います。
特別区に勤める僕の友人は、1時間程度の残業でも残業代が出るとのこと。
セキュリティゲートで勤務時間を管理しているようです
しかし、残業申請に関する不文律がある場合が少なくないのでしょう。
部下の残業時間が長いと上司の査定にも響きますしね。
②:ノー残業デーには残業代が出ない
働き方改革の影響か、多くの自治体には「ノー残業デー」があります。
ただ、この「ノー残業デー」は、基本的に残業代が出ません。
正確に言えば、残業申請が承認されれば出ます。
しかし、決裁権者が普段よりも上の人になったりするので、申請しないように言われますね。
しかし「ノー残業デーだから仕事が減る」訳ではありませんよね。
実際、ノー残業デーでも多くの職員が普段通り定時後も仕事をしています。
(早く帰る職員も普段よりは多いですが)
つまり、ノー残業デーは実質的に「ノー残業代デー」なんです。
③:公務員の残業代には予算上の制約がある
公務員の残業代は、各課に割り振られた予算の範囲内でしか出ません。
どんなに残業をしても、残業代として支給するお金がないと払いようがありませんよね。
上述のとおり、公務員の残業申請においては暗黙のルールがあります。
- 数時間の残業では残業申請をしない
- 深夜まで残業をした場合も、残業時間を短めにして申請する
これらの不文律も、この予算上の制約による部分が大きいですね。
なお、残業代の予算は自治体や部署によって大きく異なります。
- 財政的に余裕のある、お金持ちの自治体
- 残業代の予算が多い部署:残業実績が多い部署
→例:財政課・人事課・土木関係など
上記は予算も多くを持っているので、残業代がしっかり支給されるはず。
【公務員の残業代】最近はしっかり出る傾向になっている場合も
これまで書いた通り、公務員は残業代が満額出ない場合が多いです。
しかし働き方改革の影響により、しっかりと残業代が出す傾向が強くなっています。
実際に僕がいた県庁でも、人事課から以下のようなお達しが全職員に来ていました。
- 残業代(時間外勤務手当)はしっかりと申請するように
- 残業代の予算が足りなくなりそうな時には、課の総務担当が財政課へ相談するように
全庁的に「残業代を出しましょう」という風潮が強くなると、残業代の申請をしやすい空気になるはず。
また、僕のYouTubeでも「ちゃんと残業代が出る」とのコメントを現役公務員の方からよくいただきます。
全体として、かなりホワイト化が進んでいる印象です。
もちろん自治体や上司によって異なることは考えられます。
しかし、これから公務員になる方は、残業代を心配しすぎなくて大丈夫かと。
ただ、残業時間や残業代があまりにも多いと、上司からの指導が入ります。
場合によっては、業務量の見直しや人事課との面談が入る場合も。
残業代の財源が税金である以上、あまりにも多くの残業代を払うのは問題ですし、業務量が多いと職員が潰れる可能性が高まるので。
公務員の残業代に関するまとめ
今回書いた、公務員の残業代事情についてまとめていきます。
- 地方公務員の残業代は月に3万円〜4万円程度(月12時間ほど)
- しかし実際には、サービス残業が多くなっている
- サービス残業には、予算上の制約・ノー残業デー・残業を申請する上でのルール等が影響している
- ただ、最近は改善傾向にある場合も。
公務員の残業代に関しては、データと実情が異なっているのは否定できません。
残業代が満額もらえず、サービス残業になる可能性もあるでしょう。
しかし、最近は全体的に改善傾向ですし、公務員には安定性・休暇・福利厚生などの魅力もあります。
営業系の仕事のように、数字を求めるプレッシャーも基本的にありません。
トータルで考えると「ホワイト」だと言えるはずです。
今回は以上にします。
本記事が少しでも参考になれば幸いです。
公務員になりたい方へ
ここまで読んで「公務員になりたい」と思った方もいるはず。
ぜひ以下の記事を参考に、公務員になるための準備をしましょう。
勉強を始める前に行うべきこと
「最初に必ず行うべきこと」を詳しく解説しています。
(紹介している無料ガイドブックは社会人向けですが、学生にもかなり参考になるはず)
公務員試験の予備校比較
大手の予備校について、元県庁職員の視点からまとめています。
公務員試験の独学対策
独学で県庁に首席入庁した僕の勉強法などを以下の記事でまとめています。