こんにちは!元公務員のHiroshiです。
近年では多くの公務員試験で課される「集団討論」。
筆記試験や個別面接とは異なり、「どういう試験なんだろう?」と最初は思ってしまう試験でもあります。
そこで本記事では、
- 集団討論とは何か(何を見る試験か)
- 集団討論の流れ
- 集団討論を突破するためのコツ
- 集団討論の対策方法
について解説していきます。
ちなみにこの記事を書いている僕は、某県庁に独学で首席入庁しました。
集団討論も得意な方で、県庁の試験では75%程度の得点率を取ることができたので、この記事の信頼性担保につながると思います。
公務員試験の「集団討論」とは何か?
集団討論とは、与えられた1つのテーマについて、受験生6人〜10人程度で議論していく試験です。
その議論の様子を試験官の方が採点していきます。
人数やテーマ等の試験の形式は自治体によって様々なのですが、概ね以下の通りです。
- グループの人数:6人〜10人程度
- 試験官の人数:3人程度
- 制限時間:45分〜90分程度
- テーマ:その自治体が抱えている問題や、時事的な内容など
ちなみに、テーマは事前に知らされる場合と、当日に試験会場で知らされる場合があります。
どちらかというと当日になって分かるケースが多いようです。(僕の受験した県庁は事前に分かるタイプでしたが)
公務員試験の集団討論で見られるポイント
集団討論では、協調性・リーダーシップ・傾聴力・積極性などがチェックポイントになっています。
とはいえ、これらを1つ1つアピールしていこうと戦略を立てる必要はありません。
シンプルに考えてOKです。
というのも、何を持って試験官がこれらを評価するのかというと、
この受験生と一緒に仕事をしたいか
という1点に尽きるからですね。
公務員になると、事業の方向性や予算を検討したり、トラブルが起きたりした際には、職場の中で打ち合わせやミーティングを頻繁に行います。
つまり、集団討論は実際の仕事のシーンに近い試験なので、「この受験生がどのように仕事に打ち込んでくれるか」を見るのに適しているんですね。
試験官は「この受験生と一緒の仕事をしたら大変そうだな」とか「この受験生となら上手く仕事ができそう!」といったことをイメージしながら採点していきます。
一緒に仕事をしたくないと思われてしまうと点数は低くなりますし、逆に一緒に働きたいと思わせることができれば高得点が期待できます。
若干抽象的にはなりますが、集団討論の最大のポイントは、「試験官に『この受験生と一緒に仕事をしたい』と思わせること」です。
以下では、試験官に「一緒に仕事をしたい」と思わせるための対策法について解説していきます。
公務員試験の集団討論の流れ
集団討論のコツの前に、集団討論の流れについてまとめておきます。
前述したように、集団討論は6人〜10人程度の1グループにして議論をしていきます。
上のように、1つの机を受験生で囲っていくイメージですね。
なお集団討論の際には、自己紹介などはせずに、指定されたアルファベットで呼び合います(例:Aさん)。
代表的な集団討論の流れは以下の通りです。
- 指定された場所に着席
- テーマが知らされ、自分の考えを5分〜10分程度でまとめる
- ひとりひとりが自分の考えを述べる
- 討論開始
なお、テーマが事前にわかっている場合は、②は省略されます。
さらに、以下のように役割を決めるように言われる場合もあります。
- 司会:議論全体の進行役
- 書記:議論の中で出た意見をまとめる
- タイムキーパー:時間をはかる
- その他
という感じです。(役割を決めるなと言われたり、特に何も言われない可能性もあります)
「司会はやるな」や「タイムキーパーがお得」などとよく言われますが、基本的にはどの役割をやっても大丈夫です。
以下では、どんな役割になっても、また役割を持たなくても使えるノウハウをご紹介していきます。
公務員試験の集団討論対策で絶対に押さえておくべきポイント
公務員試験の集団討論では、「試験官に『この受験生と一緒に仕事をしたい』と思わせること」がポイントだと書きました。
では、自分が試験官になったつもりで、どんな討論をする受験生と一緒に仕事をしたいか、またどんな討論をする受験生とは一緒に働きたくないかを考えてみましょう。
- 視野が広く、色々なことを考えられる人
- 人の意見を否定せず、建設的な議論ができる人
- 論理的な話ができる人
- いつも前向きで、笑顔が明るい人
- 人の話をよく聞くことができる人
集団討論は「議論」です。
議論とは、みんなで協力して答えを探し出していく作業です。
つまり、この議論を成功させるのに貢献してくれる人と、試験官は一緒に働きたいと思います。
逆に、試験官はどんな人とは一緒に働きたくないと思うのでしょうか?
- 視野が狭く、自分の意見に固執する人
- 人の意見に対して噛みつき、相手を言い負かそうとする人
- 話が二転三転して、何を言っているのか分からない人
- マイナス思考で暗い人
- 自分のことばかり話す人
こんな人とは誰も一緒に仕事をしたいと思わないですよね。
つまり集団討論本番では、上に書いた「一緒に働きたい人」の要素を満たせるように議論を進めていけばOKです。
とはいえ若干抽象的なので、「一緒に働きたい人」の要素を踏まえつつ、集団討論のポイント・コツを深掘りしていきます。
ポイント①:まずは議論の前提・論点を決める
結構ありがちなのが、急に議論の各論に入ってしまうこと。
例えば、「本県の観光を活性化させるにはどうすれば良いか」というありがちなテーマを想定します。
この際に、いきなり「県にある〇〇という施設でイベントをやりましょう」というような意見を言う方が多いのですが、まず大事なのは「議論の前提や論点」を決めること。
「観光を活性化させるにはどうすれば良いか」というテーマは非常に抽象的です。
したがって、良い議論をするためには、まずテーマを具体化してイメージしやすくすることが大事ですよね。
この例でいうと…
- 観光の活性化とは?→観光客の増加
- 観光客を増加させるアプローチ→国内向け・海外向け
- 国内向けにはどうすればよいか?
- 海外向けにはどうすればよいか?
という感じ。
議論の前提や流れを決めることは、集団討論を行う上で非常に重要ですし、これができる受験生の点数はグッと上がります。
これは司会の方の仕事(いる場合は)なのですが、司会の方がいきなり各論的な議論に入ってしまった場合には軌道修正をしてあげましょう。
ポイント②:建設的な意見を心がける【クラッシャーになるな】
議論ですから、誰かが言った意見に対して反対の意見を言うこともあります。
しかし、その際には言い方が非常に重要で、他の人を論破するような言い方はNGです。
集団討論はみんなで議論して正解を探っていく試験なので、言い負かしてグループの雰囲気を悪くしてしまうと当然減点対象になります。
そのため、グループの中で反対意見を言う際には、
という感じで、建設的な意見を言うように心がけましょう。
「代替案なき批判」は最も嫌われます。
批判するばかりの人は、単純に議論全体の「クラッシャー」でしかないので、集団討論を進める上で邪魔でしかありません。
誰かが言ったことのアラを探そうとするのではなく、議論がさらに良くなるにはどうすれば良いかを常に考えましょう。
ポイント③:実体験を絡め、かつ現実味があることを言う
自分の実体験や経験を絡めると、発言に説得力がグッと増します。
前述の「観光の活性化」というテーマを例にすると…
- 以前に〇〇という観光地に行った時に、〜という工夫がされていてとても良かった
- 本県もこれを参考にして、〜をやってみてはどうか
という感じですね。
実体験があると発言に重みが出ますし、信頼性が出るので非常におすすめです。
ポイント④:発言機会が少ない人に話を振ってあげる
集団討論をしていると、たくさん話す人とあまり話さない人がどうしても出てきます。
そんな時に、発言機会の少ない人に話を振ってあげると、「全体がよく見えている」と評価されてポイントが上がります。
具体的には、「私は〜と考えるのですが、〇〇さんはいかがですか?」という感じですね。
ポイント⑤:論理的に、かつ適度に話す
討論では、自分の意見をグループ内の人に理解してもらう必要があります。
そのためには、論理的で分かりやすく話すことが必要です。
具体的には、
- 主張
- 理由
- 具体例
- 再び主張
という感じ。
理由や具体例からダラダラ話してしまうと、何を伝えたいのかがボヤけてしまいます。
まずは自分の主張を明確にして、論理的で分かりやすく話すようにしましょう。
また、話しすぎも話さなすぎもよくありません。
話しすぎてしまうと「自分のことばかり言う人」、全然話さないと「議論に参加しようとしない人」と見なされてしまいます。
(まぁ話さないよりは話した方が良いのですが)
ちなみに僕は、集団討論では話す機会が多くなりがちだったので、常に「他の人の発言機会は十分か」を気にしていました。
そうすることで、発言の機会が少ない人には話を振ったりしてバランスを取りつつ、自分の得点も意識していましたね。
話さないことには何もなりませんが、常にグループ全体の発言の回数や時間を気にかけるようにしましょう。
ポイント⑥:とにかく笑顔
討論中はとにかく明るく振舞いましょう。
ムスッとしている人や表情が暗い人とは、試験官も一緒に仕事をしたいとは思いませんよね。
誰かの意見にはうなずいたり、笑顔で誰でもウェルカムな雰囲気を出したりして、「誰でもウェルカム」な感じを出しましょう。
公務員試験の集団討論の対策法は?
最後に、集団討論の対策法を見ていきます。
模擬集団討論が効果的
やはり最も有効なのは実践ですね。
予備校に行っている方は予備校で対策ができるでしょうし、独学の方は大学の就職課などで行なっている集団討論対策に参加しましょう。
ちなみに僕も、2回ほど大学の就職課主催の集団討論対策講座のようなものに参加しました。
1度でもやっていれば流れがつかめるので、本番前にやっておくのがおすすめです。
受験する自治体の主な事業を確認しておく
集団討論では、その自治体が抱えている問題や重点的に力を入れている施策を絡めたテーマがよく出題されます。
そのため、受験する自治体が今どんな施策を行なっているのかについては、マストで確認しておいてください。
討論本番で、「〜という事業をやってはどうか?」と発言した際に、その事業がすでに実行しているものだったら、試験官の方に与える印象は良くありませんからね。
それよりも、「本県では〜という事業を現在やっているが、さらに〜にするとより効果が見込めるのでは?」という感じで言った方が、試験官の評価は上がります。
自分の発言の中身を良くするためにも、試験官へのアピールを強化する意味でも、受験する自治体が行なっている主な施策は頭に入れておきましょう。
集団討論の対策におすすめの本
集団討論の対策に本は不要です。
本を読んでもできるようにはなりません。
流れやコツをググって、あとは練習あるのみです。
ただ、集団討論は論文の勉強が活きます。
論文の勉強の中でつちかった時事的な知識や、話の組み立て方が集団討論でも大いに力を発揮します。
その意味で、論文試験で使った本は、集団討論前にもよく確認しておきましょう。
【よくある質問】集団討論の練習ができない場合は?
このような方もいらっしゃると思います。
事前に対策できないのは厳しいのですが、そんな方でも大丈夫です。
公務員試験の2次試験(集団討論・面接)は「良い人を見つけよう」というより、「ダメな人を落とそう」という意味合いが強いです。
そのため、「この受験生はダメだ」と試験官に思われない限り、合格できる可能性は全然あります。
つまり、集団討論では、高得点を狙って鋭い指摘をしようとしたり、司会をやったりしなければOK。
具体的には、適度に自分の意見を言いつつ、出た意見を適宜まとめたりしていれば、試験官の方に悪い印象を与えることはないので、十分合格ラインに達することができます。
集団討論にぶっつけ本番で挑むという方は、当たり障りのない意見を言うようにして、グループ全体の潤滑油的なポジションを狙いましょう。
まとめ
本記事の内容についてまとめておきます。
- 集団討論の最大のポイントは、試験官に対して「この受験生と一緒に働きたい」と思わせること
- 集団討論の対策では、どんな人と一緒に働きたいか、逆に働きたくないかをまず考えてみる
- 集団討論の対策は、模擬集団討論を行うのが最も効果的
今回は以上になります。ありがとうございました。
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- 独学での試験対策における全体の基本方針・戦略
- 1日の勉強のスケジュールの立て方
- 試験対策として使うべき参考書・問題集
- 僕が実践していた勉強法・スー過去の使い方
- 独学で公務員試験に合格するためのロードマップ【筆記・論文・面接】
→時期別にやるべき内容を記載
このnoteのミソは、時系列でやることを記載しているところ。
「どの時期に何をすればよいのか」を詳細に紹介しているので、独学での対策をする上では非常に参考になるかと。
なお、このロードマップは県庁に独学で合格した僕の体験から書いているので、他のサイト等とは説得力が違うと自負しています。
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ぶっちゃけかなりお手頃かと思うので、興味のある方はぜひ。
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有料noteのほか、公務員試験に関する情報については当ブログでも発信しています。
面接・集団討論全体の勉強法・学習方針については、以下の記事にてくわしくまとめています。
独学で勉強をする方向けに書いた、勉強・対策法のまとめ記事はこちら(こっちでも十分有益です)。
なお、本記事や当ブログの他の記事を読んでみて、「独学は厳しそうだな」と感じた方向けに、予備校比較の記事も用意しています。
予備校か独学かは「ツール」に過ぎず、「公務員試験合格」というゴールは同じ。
独学にこだわりすぎて勉強がうまく進まず、結果として落ちてしまったら本末転倒なので、独学の自信がない方は必ず予備校も視野に入れましょう。