こんにちは!元公務員のHiroshiです。
どっちの公務員になるべきか知りたい。
行政系の地方公務員では、地方上級(県庁)と市役所が代表例です。
併願をする方・考えている方も多く、「どっちが良いのか」と迷いがちでもあります。
今回は「県庁と市役所の公務員について徹底比較」していきます。
本記事の内容
- 試験の難易度の比較:地方上級VS市役所上級
- 県庁と市役所の給料の比較
- リアルな業務内容・転勤などの違い←どっちが格上?
この記事を書いている僕は、県庁に勤めていた経験を持つ元公務員です。
市の職員の方とも関わりがあったので、経験をもとに書いていきます。
この記事を読むことで、「ご自身にとって県庁と市役所のどちらが良いか」が分かるはず。
3分ほどで読めるので、ぜひ最後までお付き合いください。
【地方上級VS市役所上級】県庁と市役所の公務員試験の難易度を比較
まずは公務員試験の難易度の観点から比較していきます。
よくこのように言われることが多いのですが、正直一概には言えません。
筆記試験:県庁(地方上級)の方が難しい
大卒区分の場合だと、基本的に筆記試験を考えたら県庁(地方上級)の方が難しいです。
なぜなら、県庁の方が筆記の範囲が広く、勉強の負担が重いから。
- 県庁:教養試験+専門試験の自治体が多い
- 市役所:教養試験のみの自治体が多い
自治体によって一部異なる場合はありますが、概ね上記があてはまります。
ちなみに教養試験とは、高校レベルの英国数社理・数的処理・時事等が出る試験のこと。
専門試験は、行政系(事務職)の場合だと大学レベルの法律や経済が主に出題されます。
つまり、専門試験が課される分、県庁(地方上級)の方が必要な勉強が増え、難易度が上がるわけです。
市役所は500〜1,000時間の勉強で間に合う一方、県庁は1,000〜1,500時間の勉強が必要と言われます。
このことが「市役所よりも県庁の方が難しい」と言われる理由ですね。
2次試験(面接):難易度は一概には言えない
しかし、2次試験まで考えると、県庁の方が難しいとは一概には言えません。
なぜなら、市役所の中には、2次試験の負担が重い自治体が少なくないから。
県庁・市役所を問わず、地方公務員は人物重視の傾向が強く、以下のような方法による選考が行われます。
- 個人面接
- 集団面接:面接官 対 複数の受験生
- 集団討論:いわゆる「グループディスション」
そして筆記の配点よりも、面接の配点の方が何倍もあるケースが普通です。
ただ、市役所の方がより面接を重視している印象があります。
- 2次試験の後に、3次試験・最終面接があるなど、面接の回数が多い
- 最終面接では、面接官として市長が出てくる場合も
- 2次試験以降の倍率がかなり高い
→県庁は2倍程度だから比較的ラク
もちろん受験する市にもよりますが、上記は割とよくある話です。
市役所の方が採用人数が少ない分、力を入れられるのかなと思います。
つまり、1次試験突破後を考えると、市役所の方が県庁よりも難しい場合があるんです。
この辺は自治体によって異なりますが、覚えておいて損はなし。
「県庁よりも市役所の方が簡単」とは思わない方が良いですよ。
県庁職員と市役所職員の給料・年収の違い
続いて、給料の違いについてです。
こう思っている方が多いかもですが、正直そうでもないです。
なぜなら、公務員の給料はその地域の「従業員50人以上の民間の平均」をもとに決定されるから。
- 県庁:県全体の民間企業の平均をもとに算定
- 市役所:その市の民間企業の平均をもとに算定
大きな市の場合だと、県全体よりも民間の給料の平均が高い場合はよくあります。
つまり、県庁よりも市役所の方が給料が高い場合も普通にあるわけです。
給料は地域手当にも左右される
なお、公務員の給料は「地域手当」の金額にも左右されます。
地域手当とは「物価調整手当」のことで、物価の高い都市部の自治体の公務員は、給料が上乗せされます。
地域手当は、県庁の場合は県全体・市役所の場合は「その市のみ」の分が適用されます。
例えば「埼玉県」と「さいたま市」を挙げると…
- 埼玉県:地域手当10%
- さいたま市:地域手当15%
こんな感じで違いが出ることも普通にあります。
実際に僕のいた県でも、県庁所在地の市の方が地域手当が高かったです。笑
地域手当は残業代やボーナスの金額にも影響するので、かなり大きいですね。
どっちが給料が良いかは一概には言えないけれど…
上記のとおり、民間の平均給料や地域手当によって公務員の給料は変わります。
そのため「県庁と市役所ではどっちが給料が良いか」は一概には言えません。
ただ、強いて言うなら以下ですね。
- 県庁所在地などの規模の大きな市:県庁よりも給料が良い
- その県の中でも小さな市:県庁よりも給料が低い
民間の平均給料・地域手当ともに自治体の規模等に関係しますので。
「県庁の方が給料が良い」とイメージだけで判断するのは辞めた方がいいですよ。笑
なお、地方公務員の給料は地方公務員の年収・給料・ボーナスまとめ完全版に書いているので、参考としてぜひ。
県庁と市役所の公務員の仕事に関する違い【リアルを語る】
続いて「仕事面」に関する違いです。
県庁にしても市役所にしても似たような名前の部署が多く、異動も色々な部署をグルグル回ります。
ただ、大きな違いは「業務の規模感」です。
県庁と市役所では、業務の規模感が異なる
「業務の規模感」と言っても抽象的ですよね。
具体的に言うなら、「仕事をする相手」と「予算」です。
県庁と市役所の仕事の違い
県庁 | ・対「企業」 ・国と市町村の間に入って調整をする ・予算額も多く、県全体を対象にした規模の大きな施策も |
市役所 | ・対「住民」 ・予算額は県よりも少ない ・事業もその市のみが対象なので、規模は限定的 |
あくまでざっくりした傾向にすぎませんが、こんな感じですね。
原則として「県庁は対企業・国で、市役所は対住民」と考えればOKです。
一方で、市役所はより住民に近いところで仕事をするイメージです。
なお、県の重要な仕事として、国と市町村の間での調整が挙げられます。
これはイメージしにくいかもですが、例えば以下です。
- 国が市町村を対象にした調査ものを県に依頼する
- 県が窓口になって、県内の市町村に対して調査を振り分ける
- 県が質問や照会に対応しつつ、調査を回収して国に提出
こういう感じの調査ものは本当によく来ますね。
県庁は住民対応がない?
よく「県庁は住民対応がない」と思われるですが、一概にそうとは言えません。
県には県税事務所や保健所などの「出先機関」があり、そこでは住民対応があります。
ただ本庁勤務だと、やり取りをする相手は、基本的に庁内の他の課・国・市・企業ですね。
転勤事情
続いて「転勤」についての話です。
市役所は基本的に、異動の範囲はその市の中なので、引越しが必要な転勤はありません。
問題は「県庁」ですね。
家とかも買えないって聞くなぁ
このように感じる方もいると思いますが、これは半分ホント・半分ウソです。
確かに、県庁は出先機関が県内全域にあります。
ただ、引越しをしないといけない転勤はかなり限定的です。
- 20代の若手の人:経験を摘ませる意味で、家から遠い出先機関に行く場合も
- 超優秀な人:霞ヶ関(国)や民間企業に出向になる場合も
正直、上記のケース以外だと引越しを伴う転勤はあまりない印象ですね。
介護や育児などの事情がある場合は尚更です。
普通に家を建てている職員の方も多いですよ。
また、若手の人・出向になった人は、いずれも数年で本庁に戻されます。
ある程度優秀な職員は、基本的にずっと本庁勤務なので、あまり心配する必要もないかと。
※転勤事情は地方公務員の転勤事情!県庁職員は転勤で引っ越しがあるって本当? で詳しく書いています。
県庁と市役所とでは、どっちが格上?
県庁も市役所も、法律上では対等な存在です。
ただ客観的に見て、県庁の方が立場や格は上なのかなとは思います。
主な理由は以下の3点ですね。
- 世間的なイメージ
→「県庁職員の方が優秀」と思っている方が多い - 県庁の方が規模が大きく、市を指揮監督する立場にある
- 県の職員が市町村に出向する際には、上の役職に就く
→例:県の課長補佐級が市町村の部長級として出向
(別に僕が元県庁職員だからではなく、客観的な話です)
ただ、市役所職員が県職員より劣っているかと言うと、実際そんなことはありませんよ。
市役所だろうと県職員だろうと、優秀な人は優秀ですので。
あくまで世間のイメージや実情から客観的に見ただけなので、ご了承ください。
県庁と市役所の違いに関するまとめ
県庁と市役所の違いについて書きました。
正直、世間のイメージは県庁の方が上で、ブランド力もあるように見えます。
しかし、イメージだけで「県庁」と決めるのはあまりおすすめしません。
市の方が待遇が良いことも珍しくないですし、仕事相手が違う以上、適性も異なるでしょう。
イメージだけで決めると、自分の思いや考えとのズレが生じる可能性があります。
したがって、自分は何がやりたいのか・何を重視するのかを念頭に決めるのがおすすめです。
少しでも良い給料が欲しい人にとって、市役所の方が良いケースも多々あります。笑
試験の難易度も含めて、これから公務員試験を受ける方の参考になれば幸いです!
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勉強方法や予備校選びについて、ぜひ参考にしてください。
公務員試験の予備校比較
以下の記事にて大手の予備校について、元県庁職員の視点からまとめています。
公務員試験の独学対策
独学で県庁に首席入庁した僕の勉強法などを以下の記事でまとめています。
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社会人から公務員に転職したい方は、以下の記事で紹介している無料ガイドブックが必見です。