こんにちは!元公務員のHiroshiです。
いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
よく「公務員の給料は高い!」「公務員の給料を下げろ!」という声を耳にします。
そこで今回は、「公務員の給料は本当に高いのか?」をテーマに取り上げたいと思います。
公務員の給料の妥当性について、元公務員の視点で書いていきますので、ぜひご覧ください!
【前提】公務員の年収・給料っていくら?
前提として、公務員の年収・給料がどれくらいなのか見ていきましょう。
ちなみに、国家・地方ともに「一般行政職」の給料になります。
国家公務員の年収・給料
- 月給:41万940円
- ボーナス:約176万円
- 年収:669万1,280円
※平均年齢43.5歳
※平成30年人事院勧告より算出
地方公務員の年収・給料
- 月給:40万2,147円
- ボーナス:158万2,717円
- 年収:640万8,481円
※平均年齢42.3歳
※平成29年地方公務員給与実態調査より算出
なお、国税庁の調査(平成29年民間給与実態統計調査)によると、民間企業の正規雇用者の平均年収は494万円です。
公務員の給料の決まり方
簡単にいうと、公務員の給料は従業員50人以上の民間企業の平均と同じ金額になるように決められます。
- 国家公務員:全国の従業員50人以上の民間企業の平均に合わせる
- 地方公務員:その自治体がある地域の従業員50人以上の民間企業の平均に合わせる
まぁこんな感じですね。
ちなみに、公務員個人の給料は「俸給表」に則って決定されます。
俸給表は役職を示す「級」と同じ級の中での位を示す「号」に分けられます。
例えば、「2級8号」とか「4級6号」といった感じです。
「号」は「級」をより細分化したものだとも言えますね。
なお、普通に仕事をしていれば、1年で4号ほど上がります(例:1級8号→1級12号)。
公務員の給料は高いのか?
「公務員の給料は高いのか」という話ですが、これは人によるので一概には言えないと言ったところです。
このように感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、一言で「公務員」といっても、明らかに給料以上の仕事をしている人もいれば、逆に仕事と見合っていないほど高い給料をもらっている人がいます。
そのため、公務員の給料は高いor安いとは一概には言えないんです。
官僚(国家総合職)の年収は明らかに安い
日本を背負うトップエリートである、官僚の年収は明らかに安いです。
官僚は日本を動かすようなスケールの大きな仕事をしているにも関わらず、年収1,000万円に到達するのは40代に入ってからですからね。
事務方のトップ(日本の行政職公務員の頂点)である「事務次官」でさえ、年収は2,000万円ちょっと。
日本の官僚は非常に優秀な上、激務にも耐えて頑張っています。
そうしたことや官僚の仕事を重要性・影響力を考えると、給料は明らかに安い(見合っていない)と言わざるを得ません。
年長者の中には明らかに高い給料をもらっている人も
公務員の給料は年功序列で上がっていくのに加え、どんなに仕事ができない・やる気がない人でも一定程度までは横並びで出世します。
そのため、40代・50代の年長者の中には、明らかに高すぎる(仕事に見合っていない)給料をもらっている人がいるのも事実です。
特に、県庁の出先機関などには「この人は何をしているだろう?」という謎なおじさん職員がちょいちょいいます。
そういう人でさえも、年収で言ったら700万円くらいには到達するわけですよ。
この類の公務員に関しては、「給料が高すぎる!」と批判されても仕方ないでしょうね。
700万円もらうのならば、700万円分の仕事をしないとおかしいので。
若手公務員はやはり薄給
よく言われるとおり、若手の公務員は薄給です。
初任給は手取りに換算すると16万円くらいですし、20代を通じても年収は400万円くらいでしょう。
公務員になる人は高学歴が多いので、民間企業に行った同級生に比べると、99%給料は負けます。
20代のうちから年収100万円以上差がつくなんてことも普通です。
まぁ給料が安くても、仕事のレベルがそれに見合ったものであれば良いですが、仕事のレベルは基本的に年長者と変わりません。
つまり同じ仕事をしていても、20代は年収400万円・40代は年収650万円と大きな差がつくということです。
まぁ薄給と言われる若手といっても、普通に一人暮らしをして生活できるだけの給料をもらうことはできます。
ただ、仕事の内容や民間に行った同級生の給料を考えると、どうしても給料は安いと言わざるを得ませんね。
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公務員の給料を下げたら、優秀な人が公務員にならなくなる
また、「公務員の給料は高すぎる!下げろ!」と思っている方もいるかと思いますが、これに関してはナンセンスと言わざるを得ません。
なぜなら、公務員の給料を下げてしまったら、優秀な人が公務員にならなくなるため、行政サービスの質が落ちることが予想されるから。
官僚をはじめ、日本の公務員は優秀な人が多い(年長者の中には仕事をしない人もいますが)ので、政策や制度の設計をしっかり行なってくれます。
しかし、公務員の給料が今以上に下がってしまうと、優秀な人はもっと稼げる民間にいくでしょうから、公務員の人材の質が下がりますよね。
となると、最終的に不利益を被るのは、「公務員の給料を下げろ!」と批判していた国民の側になるのです。
そして、すでにこの傾向は始まっています。
官僚(国家総合職)として某省庁の人事担当をしている友人の話によると、
「昔は東大のトップ層が官僚になっていたが、いま官僚になるのは東大・京大の3番手くらいの人」
とのこと。
本当に優秀な人は起業したり、外資に行ったりしますからね。
それを踏まえると、公務員の給料を今よりも下げてしまうと、公務員のレベルが下がるのは納得できるでしょう。
落とし所としては妥当
諸々を踏まえると、公務員の給料の落とし所としては割と妥当な線なのかなと思います。
- ある程度優秀な人には公務員になってほしい
- 給料が高いと住民からの批判も強くなる
この2つを比べたときに、従業員50人以上の民間の給料に合わせる、つまり「中の上」クラスの給料を与えておくというのは、割とバランスが取れていると考えられます。
「全ての民間企業の平均に合わせる」となると、明らかに給料が安くなりすぎて、優秀な人が公務員にならなくなるでしょうから。
まとめ。「公務員の給料が高い」と批判するのはナンセンス
前述しましたが、やはり「公務員の給料が高い」と批判するのはナンセンス。
提供した価値の見えにくい公務員の仕事ですが、明らかに給料以上の仕事をしている方もいらっしゃいますので。
批判するべきは、仕事をしていなくても高い給料がもらえてしまう「年功序列の給料体系」です。
この給与体系によって、仕事に見合っていない高い給料をもらう公務員が生まれるとともに、成果を出している公務員に対して正当な給料が支払われなくなっているので。
まぁこの給与体系をぶち壊したら、「安定」という公務員のウマみも失われるため、現職の公務員からはバッシングがありそうですが…
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