県庁職員は優秀かもしれないがエリートではない
結論から言うと、県庁職員は優秀ではあるかもしれませんが、世間で思われるほどエリートではないです。
- そこそこの大学を出た人が多く、大卒程度の知識が要求される公務員試験に合格しているから、ある程度は優秀
- 社会的な信頼はあるものの、さほど年収が高いわけでもないからエリートではない
簡単に言うと理由はこんなもんですかね。
少なくても、自分をエリートだと思っている県庁職員はほぼいないかと。
僕も県庁職員時代、自分がエリートだと思ったことは一度もありません。
以下では、「県庁職員は優秀かもしれないが、エリートではない」ことについて深掘りして解説していきます。
大学の偏差値&それなりに難しい公務員試験に合格しているから県庁職員は「優秀」
県庁職員ともなると、旧帝大や早慶レベルの大学の出身者もふつうにたくさんいますし、MARCHや地方国立大卒までの方が大半です。
つまり、世間的に言えばかなり優秀な部類に入る方が集まっているわけです。
「MARCH以上は日本の上位10%」と言われますからね。
また県庁職員になるには、専門・教養で合計30科目以上出題される公務員試験に突破しないといけません。
公務員試験は出題範囲も広いですし、倍率もなかなか高い試験なので、その試験を突破した=優秀と考えてよいでしょう。
つまり、大学の偏差値や公務員試験を突破したという実績があるという理由から、県庁職員は優秀であると言えます。
県庁職員はさほど年収が高いわけではないから、エリートではない
県庁職員は「勉強ができる」という意味では優秀ですし、また社会的な信頼性もありますが、決してエリートではありません。
というのも、年収がさほど高くないから。
以下の記事を見ると分かるように、県庁職員の年収は40代で650万円程度がボリュームゾーンです。
まぁ中の上レベルではありますが、エリートと呼べるほどもらってはいませんよね。
このように思う方も一部いるかもしれませんが、民間に行った同じ大学の同期よりも年収は圧倒的に少ないですよ。
県庁職員の大学って、前述のように旧帝大・早慶・MARCHあたりが多数派。
そのレベルの大学になると、大手企業やベンチャー企業に就職する同期が多く、年収が県庁とはかなり違います。
若手のうちから年収が100万円以上違うことはザラですし、30代〜40代になるころには倍近く差がついているなんてことも。
身近にいた人よりも年収が圧倒的に安いことから、県庁職員が「自分はエリートじゃない」と思うのも納得できるでしょう。
県庁職員の仕事への情熱も、エリートとはかけ離れている
またエリートというと、「自分の仕事に誇りを持って、社会的に意味のある仕事をバリバリやっている」というイメージがありますよね。
しかし、県庁職員の仕事はそういうイメージとはかけ離れていますし、実際に「仕事は収入を得るための手段」と割り切っている県庁職員も非常に多いです。
- 議会答弁のちょっとした言い回しを直すのに何時間もかける
- 決済は紙で、上の人のハンコを順々にもらっていくから時間がかかる
- 議員や業界団体などの既得権益の圧力により、職員自身がやりたいと思っている施策ができない(反対に不要だと思う政策を無くすこともできない)
こんな感じで、仕事における制約が多いのが県庁職員なんですよね。
となると、入庁前は「バリバリ働いてやる!」と思っていた方でも、仕事に情熱を注がなくなるのは自明。
県庁職員というと確かに安定はしているかもしれませんが、仕事に対して情熱を持てていない方が多数派です(もちろん情熱を持って仕事をしている人も一定数はいますが)。
自分の仕事に誇りを持っていない人を「エリート」とは呼べないですよね。
なぜ県庁職員はエリートだと思われるのか
以上のように、「県庁職員はさほどエリートではない」と書きましたが、なぜ県庁職員はエリートだと思われるのでしょうか?
- わかりやすい社会的信頼
- 高収入だと思われている
- 頭が良くないとなれないイメージ(頭が良い=エリート)
- 普段の生活で接する機会が少ないから、あまり馴染みのある存在ではない(市役所職員のように住民対応があまりないため)
このあたりが理由でしょう。
特に地方では、県庁職員よりも収入が高い職業が少なく、「優秀な人は県庁か銀行に行く」というイメージが強いです。
そのため、「県庁職員or銀行員=安定した職業のエリート」だと思われやすいのでしょう。
「地域の名門高校→大学→県庁」というルートも確立されていますしね。(〇〇高校県庁OB会的な組織も強いです)
出世するエリート県庁職員はどこの部署にいるのか
ここからはちょっと視点を変えて、「出世が見込まれる県庁職員=エリート」とするならば、エリートの県庁職員はどこの部署にいるのかというテーマです。
部長クラスまでいけば年収1,000万円超なので、部長クラスまでの出世が見込まれているならば、十分エリートと言ってよいと思われますし。
結論を言うと…
- 財政課:県の予算事務を統括する
- 人事課:職員の異動などを決める
- 秘書課:知事や副知事の秘書業務をする
- 企画課:政策の全体方針を決める部署
- 国(霞ヶ関の省庁への派遣)
という感じです。
出世が見込まれる将来の幹部候補(部長以上が見込まれるエリート)は、20代後半〜30代のうちに上のいずれかを担当します。
上にあげたところは割と激務なのですが、激務部署に入れる=人事も将来を期待しているということですからね。
財政課と人事課は他の課と比べて別格。
どこの組織もそうですが、カネとヒトを握っているところは強いです。
僕のいた県でもそうでしたが、財政課長と人事課長は課長級の職員ではなく、1つ上の「次長級」の職員が担当しており、他の課よりも1段上の扱いでした。
県全体の基本方針を決める企画課(名前は自治体で異なる)、知事や副知事の秘書業務を行う秘書課も出世が期待される職員が担当します。
また、霞ヶ関の中央官庁に出向になる職員は、「県の代表」として国で働くわけですから、当然将来が期待される方が派遣されますね。
ちなみに僕がいた県庁では、優秀な人は30代前半あたりから、このあたりの部署をぐるぐる回る感じで異動していました。
出世する職員は「人事課→秘書課」「秘書課→財政課」など、花形かつ激務部署を渡り歩きます。
たまに商工や農林関係などの部署に行きますが、これはあくまで「休憩期間」のようなもの。
さほど激務でない部署を1ヶ所程度はさんだら、また激務部署に舞い戻り、最終的には部長クラスまで出世していきます。
僕のいた県庁だけの話とは考えにくいので、おそらく多くの県庁がこんな感じかと。