こんにちは!元公務員のHIroshiです。
よく国や県、市などの自治体が主催するイベントや式典のときには、知事・副知事や市長といった方々のあいさつがありますよね。
実はそのあいさつ文は、知事や市長自身が自分でイチから考えている訳ではありません…
実際にあいさつをする知事や市長ではなく、一般の職員(公務員)があいさつ文をつくっているのです。
本記事では公務員の仕事である「あいさつ文」をテーマに、どのようにあいさつ文を書いていくのか、またどのような流れであいさつする本人(知事や市長)まで渡るのかを解説していきます。
公務員になるとあいさつ文を書く仕事が結構ありますので、これから公務員になろうと考えている方はぜひ読んでみてください。
【事実】知事・市長のあいさつ文は一般の公務員が書いている
見出しにもあるとおり、自治体主催のイベント等で行われる知事や市長のあいさつは、一般の職員(その行事に関連する事業を担当している公務員)が考えています。
僕も県庁時代には何本も書いたことがありますが、これが結構大変です…
- その行事の概要
- 県の基本方針
- その行事に関連する県の施策
- 時事的な話題・ニュース
- 国の関連施策
こういったものを踏まえながら、1つ1つ文章を構成させていきます。
もちろん論理性がないとNGなので、ある意味公務員試験の「論文試験」の経験が活きると考えられますね(笑)。
なお、単にあいさつ文を作るだけではなく、関連資料を何枚もつけます。
あいさつ文をつくるのは大変ですが、関連資料をつくっていくのも同じくらいハードですね。
他の部署で行われている施策をあいさつ文の中に散りばめることもよくあるので、他の課に行って資料をもらってくることも多々あります。
あいさつ文が知事・市長の手に渡るまでの流れ
知事・市長(副知事・副市長も)といった行政のトップの方のあいさつ文ともなると、それが知事や市長に渡るまでのプロセスが非常に長い…
僕のいた県庁の話ですが、以下のような流れであいさつ文の仕事を行っていました。
- 担当職員があいさつ文・参考資料を用意
- 課内で回付し、課長が承認
- 課長が承認したら、部長に回付。
- 部長が承認したら、知事や副知事のお膝元である「秘書課」へ回付
- 秘書担当部局の長が決裁
- 知事や副知事の秘書に正式版のあいさつ文・参考資料を提出
- 必要があれば、知事や副知事にレクチャー
かなり面倒な手順を経て、あいさつ文が実際にあいさつを読む人の手に渡ることがわかりますよね。
まぁ簡単にいうと、「自分の課→部局→秘書課」という順にあいさつ文が回っていき、決済に至るという感じです。
一般の職員が書いたあいさつ文がそのまま決済に至ることはほぼない
僕のいた県庁では、自分の書いたあいさつ文がそのまま決済されることはまずありませんでした。
課内では「この言い回しはダメだ」や「この事業の内容も入れろ」などと、言われることが多々ありましたね。(内容を詰め込みすぎると文脈がおかしくなるのに…)
なぜか上の方々は自分の「色」を出したがるので、あいさつ文1つ書くのにも結構振り回された記憶があります。
また、「文字が1px小さい」などと、めちゃくちゃ細かいところを突っ込まれたりもしました(笑)。
そんなこんなで部局の承認が下り、秘書課に回付しても修正が続きます。
秘書課には「あいさつ文担当」の職員がいて、その人が知事や副知事のあいさつ文を1つ1つ添削していくのです。
秘書課のあいさつ文担当の職員が、イベントの担当者(最初にあいさつ文を書いた職員)にヒアリングをしながら、あいさつ文を完成させていく感じですね。
そこで直したものが最終的に正式版のあいさつ文となり、知事や副知事の手に渡るという流れになります。
秘書課は、文字どおり知事や副知事の秘書業務を行う部署なのですが、その中に「あいさつ担当」の職員がいました(他の自治体にもいるかと思われます)。
知事や副知事は1年間の間に数多くの会合・行事・イベント等に参加し、その度にあいさつをしますが、それら全ての添削を秘書課のあいさつ担当の職員が行います。
膨大な量のあいさつ文を見る必要があるために非常に大変で、年間を通じて激務です…(新年会シーズンの年明けは特にヤバいです)
知事や市長はあいさつ文をその通りに読んでくれるとも限らない…
上のような過程を経て用意したあいさつ文ですが、知事等は実際にあいさつ文の通りには読んでくれません…
もちろん部分的には読んでくれますし、ベースは用意したあいさつ文なのですが、参考資料に目を通して、自分の言いたいことをあいさつするという場合が多かったですね。
正直なところ、「あいさつ文の仕事」は時間的・労力的なコストが高いばかりで、大したリターンのない仕事と言わざるを得ないかなと。
あいさつ文のために残業をすることもよくありますし、秘書課のあいさつ担当の職員は土日返上で仕事をすることも普通でしたからね。
そこまでして用意したあいさつ文も、結局はその通りには読まれません。
それだったら、あいさつ文の概要・骨組みと参考資料のみを知事・副知事に渡す感じでも、全く問題ないんじゃないかなと個人的には思うところです。
「仕事のための仕事」に過ぎないあいさつ文が簡易化できれば、もっと重要な仕事に時間的・人員的なリソースを割けるので、全体的にプラスですよね。。。
まとめ
本記事の内容をまとめます。
- 式典やイベントでよく行われる、知事や市長のあいさつ文を考えるのは一般の職員(公務員)の仕事である
- あいさつ文を作る過程はかなり複雑で、長いプロセスを経てあいさつをする知事などの手に渡る
- 職員が考えたあいさつ文も、その通りには読まれないことが多い
なお、部長や課長が会合や行事であいさつをする際にも、担当の一般職員があいさつ文を考えます(課内で決済が終わるなど、知事・副知事に比べて圧倒的に楽ですが)。
あいさつ文を考える仕事は、公務員になる方の大半が経験するでしょう。
「こういう仕事もあるんだ」と、これから公務員になる(orなろうと考えている)方は覚えておいてくださいね。
今回は以上になります。ありがとうございました。
以下のnoteでは、僕の2年間の公務員経験から「受験前・入庁前に知っておきたい、公務員のリアルと未来」を書いています。
公務員になる方が知らないと確実に後悔することを詰め込んでいるので、気になる方はぜひどうぞ。