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公務員の仕事のリアル

実は無駄?公務員の仕事のやり方「起案→決裁」の流れ【ハンコ必須】

こんにちは!元公務員のHiroshiです。

よく「公務員の仕事は無駄が多い」「公務員の仕事にはスピード感がない」等と言われていますよね。

それは公務員の仕事のやり方、つまり決裁のシステムに原因があります。

本記事では、公務員の意思決定方法の基本である「決裁」をテーマに取り上げていきます!

本記事の内容

  • 公務員の仕事の基本「決裁」のシステムとは【流れを解説】
  • 決裁が必要なのはどういう仕事か【基本的に全部】

元県庁職員の僕の公務員時代の経験をもとに書いていきます。

「決裁」は公務員の仕事の進め方の基本となるものなので、これから公務員になろうと思っている方・公務員に内定している方などはぜひ読んでみてくださいね。

公務員の仕事の基本の「決裁」システムとは

公務員の仕事の基本の「決裁」システムとは

決裁とは「下の人からの伺いを上の人が許可すること」を言います。

  • 依頼文・通知文を送付する
  • 他の機関(国など)の調査に回答する
  • 予算の執行
  • 補助金の交付
  • 申請に対する承認

上のような公務員のあらゆる仕事は、担当者が起案文書(稟議書)を作成して、課長以下に順々に(下の役職の人から上の役職の人へ)回付していき、一人一人承認していきます。

決裁者(課長や部長など)が承認すると「決裁が下りた」ということになり、そこではじめて仕事を進められるのです。

 

ちなみに決裁は、「ハンコを押す」を繰り返して行われます。

公務員の仕事(決裁)

こんな感じで「起案者」から起案文書(稟議書)に順々にハンコを押していくイメージになりますね。

上の例においては、自分の担当係(グループ)の職員・課長補佐・総括課長補佐(課のNo.2)・課長の6人のハンコをもらう必要があるということです。

回していく中で、係長や課長補佐から起案文書の修正が入ることも多々あります。

Hiroshi
Hiroshi
係長に言われて直したところを、課長補佐の指示で元に戻すなんてことも結構あります

その度に修正をして、再度回付をしてハンコをもらい、全員のハンコがもらえたら晴れて仕事を進められる感じです。

Hiroshi
Hiroshi
新人や若手のような下っ端でも、もちろん他の人の起案文書にハンコを押しますよ

 

関係する職員全員がハンコを押さないと決裁されない=仕事が進められないので、仕事のスピード感としてはどうしても遅くなります。

休暇や出張でいない人がいる▷ハンコが押せない▷起案文書がそこでストップ

上のような図式になるわけですからね。

まぁ実務としては、係員くらい(主事や主任級)の人がいないときは、その人をすっ飛ばして次に回付するときもあります。

でも課長補佐以上の方は起案文書1つ1つに必ず目を通すので、上の方々がいないとマジで仕事が進みません。

仕事によって決裁に至るまでのハンコの数が違う

前述したような課長決裁の起案が最も多いのですが、重大なものになると決裁権者がさらに上の人になったり、他の部局の長になったりします。

よくあるものとして、例えば「補助金の交付」に関する仕事では以下のような感じです。

  1. 起案文書を作成し、課長までハンコをもらう
  2. 課長が次長や部長に文書を回し、次長・部長のハンコをもらう(内容を説明する必要あり)
  3. 財政課へ回付。財政課の職員に順々に説明し、一人一人ハンコをもらう
  4. 財政課長までハンコをもらったら、次は総務部の次長・部長のハンコをもらう
  5. 総務部長がハンコを押してくれたら決裁完了(場合によっては会計課まで回付することもある)

補助金関係などの色々な部局をまたぐ仕事では、承認を得ないといけない人が増えるので、ハンコの数も比例して多くなりますね。

Hiroshi
Hiroshi
僕も補助金関係の仕事はやっていましたが、リアルに20コ〜30コのハンコが紙いっぱいに並んでいました(笑)

また、文書に目を通す人が増えるということは、それだけ決裁までに時間がかかるということです。

僕だと最長で2週間くらいかかったことがありますね。

条例の改廃などの知事・市長決裁の業務になるとハンコの量はさらに増えるので、比例して決裁までに時間もさらにかかるでしょう。




決裁が必要な公務員の仕事って?【無駄も多い】

決裁が必要な公務員の仕事って?【無駄も多い】

結論、全部です。

公務員の仕事ではどんなに小さなことでも、下が「お伺い」を立てて(起案をして)何人ものハンコをもらい、上の決裁をとる必要があります。

  • 会議の出席(ショボいものも含む)
  • 関係団体の新年会の出欠
  • 庁内の調査の回答(「該当なし」を含む)
  • 休暇・時間外勤務・旅費などの申請

担当職員が出席すればよい会議や、庁内の他の部署が実施している簡単な調査物ですら、起案文書を作成して上にお伺いを立てます。

 

  • □□会議について〇〇(自分の名前)出席で回答してよろしいか
  • 〇〇課からの調査に対して「該当なし」と回答してよろしいか

このような独特の言い回しを使って起案していくのですが、まぁぶっちゃけ「誰がダメって言うねん」って感じですよね。

でも、すべて順々に回付してハンコをもらってから回答し、その回答した紙をファイリングしておくのが「お役所仕事」なのです。

 

もちろん重大な意思決定をするものや、予算に関連するもの等、重要度の高い仕事ならば、順々に目を通して間違いがないか確認することも重要でしょう。

一方で、さほど重要度の高くない仕事であれば、上司に確認をして担当レベルで返答するという形でも全く問題ないんじゃないかなと。

正直、すべての仕事でハンコもらうのって労力の無駄ですよね。。




まとめ

本記事の内容をまとめておきます。

  • 公務員の仕事は、担当職員がつくった起案文書(稟議書)を上の人に順々に回付してハンコを押していく「決裁システム」で進められる
  • ハンコを押すべき人が休暇や出張で不在だと、決裁が得られないために仕事が進まない
  • 仕事によって決裁権者は異なり、重大な業務になると他の部局の長のハンコが必要になることもある
  • 軽易な仕事でも必ず上の人の決裁を得てから仕事を進めないといけない

今回は、公務員の仕事のやり方である「起案→決裁」の仕組みについてご説明しました。

どの自治体でも基本的なやり方は同じだと思われるので、これから公務員になる方はぜひ参考にしてくださいね。

本記事は以上になります。ありがとうございました。

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