こんにちは!元公務員のHiroshiです。
実際に合格した人の経験から話が聞きたい
このクラスの公務員になりたいけど、やっぱり市役所とかに比べると厳しいのかな…
「大卒で公務員になろう」と考える方にとって、地方上級はまず候補に上がります。
ただ「地方上級=難しい」というイメージを持っている方も多いはず。
しかし僕自身の経験上、地方上級の難易度にビビる必要は全くなく、むしろ結構簡単です。
本記事の内容
- 地方上級の概要と難しさ
- 地方上級が実は難しくない理由
- 地方上級に合格するための勉強法
ちなみに僕は地方上級の試験を受け、県庁に首席入庁した経歴を持つ元公務員です。
経験をもとに実りのある話ができると思うので、ぜひ最後までお付き合いください。
地方上級とは【市役所との違い】
地方上級とは、都道府県庁や政令市の大卒程度の公務員の総称です。
(正式名称ではなく、あくまで受験における造語)
「本庁や出先機関で仕事をする」一般的な公務員のイメージですね。
通常の市役所との違いは、主に以下があります。
- 試験範囲
→市役所は教養試験のみ・地方上級は教養と専門の両方 - 仕事内容
→市役所は主に対住民・地方上級は対企業が多い
(専門試験が課される市役所も一部あります)
詳しくは以下にまとめているので、ぜひご覧ください。
地方上級が難しすぎると言われる理由
地方上級の公務員試験は「難しすぎる」と言われることもしばしば。
その理由は、大きく2つあると思います。
理由①:膨大な試験範囲
最大の理由は「試験範囲の広さ」です。
地方上級レベルになると、一気に筆記試験の負担が増します。
具体的には、専門・教養で30科目以上も課されるんです。
教養試験の科目
文章理解 | 現代文や英語の読解問題 |
数的処理 | 数的推理・判断推理・資料解釈 |
社会科学 | 政治経済・時事 |
人文科学 | 日本史・世界史・地理・思想等 |
自然科学 | 生物・物理・化学等 |
※文章理解と数的処理の配点が高めになっています。
教養試験の科目は上記のとおり。
センター試験(共通テスト)レベルの英国数社理、そして時事が出ます。
特に数的処理の配点が大きいので、難しいと感じる人がかなり多いです…
(公務員試験は文系の方が多いため)
専門試験の科目
行政系科目 | 政治学・行政学・国際関係・社会政策など |
法律系科目 | 憲法・民法・行政法・労働法など |
経済系科目 | ミクロ経済学・マクロ経済学・財政学等 |
専門試験の科目は上記のとおり。
教養に加えて、大学レベルの社会科学の知識が広く問われます。
教養試験は、中高の勉強で多少なりとも馴染みがあるもの。
しかし当然ですが、専門試験の多くの科目は初めて学習するものです。
- 経済学部:政治と法律は初めて
- 法学部:経済と政治は初めて
- その他の学部:全部初めて
初めて学習するんですから、当然理解までに時間はかかります。
「勉強の負担の重さ」が、地方上級が難しいと言われる最大の理由です。
理由②:さらに面接も待っている
筆記試験を通過しても、それで「晴れて公務員」ではありません。
さらに面接を突破する必要があります。
- 個人面接
- 集団面接
- 集団討論(グループディスカッション)
自治体によってまちまちですが、上記のような面接があります。
(僕のいた県は個人面接と集団討論でした)
昨今は面接が重視されており、面接で失敗したら合格できません。
「勉強を頑張ったのに公務員になれない」事態もあり得る訳です。
民間就職は、ほとんど面接のみの選考です。
しかし地方上級レベルになると、かなり負担が大きくなります。
- 筆記試験:膨大な範囲の勉強が必要
- 面接:様々な面接に対応する必要あり
「地方上級は難しすぎる」と挫折するのも、ある意味納得です…
【参考】地方上級合格者の出身大学
「地方上級=難しい」というイメージの要因の1つが、合格者の出身大学。
地方上級レベルに受かるのは、正直「高学歴が多い」です。
- 東大・京大・一橋:少ない
- 旧帝大などの難関国立大:結構多い
- 中堅クラスの地方国公立大学:最も多い(地元の大学中心)
- 早慶上智:結構多い
- MARCH:結構多い(早慶と同じくらい)
- その他:少ない
(ソースは僕のいた県庁の同期・先輩・後輩などの知り合い)
総じて「高学歴の人がなる=地方上級は難しい」と思われるのかなと。
【地方上級の難易度】実は結構簡単である理由
上記の通り、地方上級はよく「難易度が高い」「難しい」と言われます。
しかし僕の経験から言うと、別に難しくないです。
なんなら、結構簡単で受かりやすい部類だと思います。
その理由は以下の2つです。
- 問題のレベル
- 試験の方式
それぞれ説明していきます。
①:問題レベルと合格ライン【6割でOK】
1つ目が問題のレベル。
前述の通り、地方上級試験は範囲が膨大です。
しかし教養・専門とも基本的な問題が大半であり、ほぼ全ての試験が選択式です。
過去問の焼き増し的な問題も多く、対策もさほど難しくありません。
しかも、別に全部できるようになる必要はありません。
どんな試験であれ、およそ6割程度の得点を取れば、基本的に筆記試験は通過できます。
つまり地方上級は「基礎レベルの問題で6割取ればOK」なんです。
確かに科目は多いですが、得意不得意や配点に応じて捨て科目を作ることもできます。
過去問をベースにちゃんと勉強すれば、ビビる必要は全くありませんよ。
地方上級試験の中でも、「関東型」や「全国型」などに分かれます。
出題数・配点や科目が若干違うので戦略は一部異なるので要注意。
しかし問題や科目などは基本的同じなので、とりあえずは気にしなくてOKです。
②:試験の方式
もう1つの理由が試験の方式です。
前述のとおり、地方上級の試験方式は基本的に以下のとおり。
- 1次試験(筆記)
- 2次試験(論文・面接)
この2つに通れば合格します。
そして、ほとんどの場合で合格=内定です。
面接には苦手意識があるし。
上記のように感じる方もいると思います。
しかし地方上級は筆記で受験生を結構落とす分、2次の倍率は低めです。
平均すると「2倍前後」でしょうか。
つまり勉強をちゃんと頑張れば、あとは競争のゆるい面接で内定が取れるわけです。
一方で、他の公務員試験は違います。
- 国家一般職:筆記→面接で最終合格後、官庁訪問で内定を取る
- 特別区:筆記→面接で最終合格後、区面接で内定を取る
- 一部の市役所:筆記は教養のみだが、面接回数がやたら多い
※特別区は厳密には地方上級ですが、便宜上こちらに記載
上記を見ると分かるとおり、内定までに面接がかなり多いんですよね。
また上に書いた試験は、面接の倍率が高いこともしばしば。
もちろん大手企業の面接はもっと大変でしょう…
つまり、地方上級の方が明らかに「楽」なんです。
地方上級は2次試験の倍率も2倍前後が平均。
倍率が高くないので、正直失敗のない面接で合格を狙えます。
筆記試験は完全に点数勝負です。
明らかなコミュ障も受かりますが、彼らは面接で失敗します。
必然的に、面接では「論理的な会話」や「清潔感」などの意識すれば大体OK。
基本を押さえれば相対的に上にいけるので、十分合格可能です。
総合的に見て、難易度的に大したことはないですよ。
地方上級は上位だけど…公務員試験の難易度ランキングを鵜呑みにするな
「公務員試験の難易度ランキング」的な記事では、以下のような難易度ランキングが記載されています。
国家総合職 > 地方上級 ≧ 国家一般職 > 市役所
上記のランキングを見ると、「地方上級難しすぎ…」と思いがちです。
ただ、これを鵜呑みにする必要は全くありません。
難易度ランキングを気にしなくてよい理由
理由としては、あくまで筆記対策の負担の重さに過ぎないから。
- 国家総合職:教養+専門試験。問題のレベルも明らかに高い
- 地方上級:教養+専門試験。問題は基礎的なものが多い
- 国家一般職:教養+専門試験。問題レベルは地方上級と同じくらい
- 市役所:教養のみ
要は「勉強量が多い=難しい」としているだけ。
実際には、難易度をトータルで見ると「人による」部分が非常に大きいです。
こんな人にとっては、内定までのステップが単純な地方上級の難易度は低くなります。
逆に、面接の負担が大きい市役所の試験は、より難しく感じるはずです。
上記の人は、筆記が軽い&面接重視の市役所試験の方が受かりやすいです。
逆に専門試験までガッツリ課される地方上級試験だと、難易度が高くなるでしょう。
つまり、難易度はあくまで相対的なものであって、一概には言えないんです。
(国家総合職が難易度No.1は揺るがないですが)
ただ前述のとおり、地方上級は筆記試験の負担が大きく、内定までがシンプルな試験。
「勉強面での判断」が大きいので、取り組みやすい&受かりやすいとは思います。
地方上級での難易度ランキングも気にするな
- 都会の都道府県庁:東京・大阪・愛知・千葉など
- 政令指定都市・特別区
- 地方の都道府県庁
- 田舎の都道府県庁
地方上級の中でも、都会の自治体の方が難しいなんて言われます。
表で言えば「上から順に難易度が高い」というイメージです。
ただ、これも気にする必要は全くないと思います。
どの自治体であれ、試験内容は似通っています。
必然的に、対策の基本的なやり方は同じ。
- しっかりと筆記試験の勉強をする
- 面接対策も怠らない
→自己分析・受ける自治体について知る・自分の回答を考える等
(独自の形式を採用している自治体も中にはありますが)
また「都会だから倍率が高い・田舎は受験生のレベルが低い」等も特にないです。
必然的に、難易度の差なんて、あっても微々たるもの。
ちゃんと対策して点数を取ることが全てですよ。
難易度から考える、地方上級に合格するための勉強法
これまでは「地方上級の難易度はそこまで高くないよ」という話。
以下では、地方上級に合格するための勉強法・対策法について書いていきます。
勉強時間の目安:1,500時間
トータルの勉強時間の目安は、1,500時間になります。
1,500時間=1日4時間の勉強を1年間毎日継続に相当します
地方上級は専門試験があるので、やはり負担としては大きいですね。
地方上級が難しいと言われるのは「学習負担の大きさ」にあります。
1,500時間も勉強するのは、やはり相応の覚悟や学習習慣が必要になるので。
とはいえ量をこなすことができれば、合格にグッと近づけるのも事実。
地方上級試験は勉強での判断が大きいので、ある意味で再現性が高いです。
勉強の本質:問題集をくり返し解くこと
勉強法としても非常にシンプル。
過去問を何周も解くことだけです。
前述のとおり、公務員試験は過去問の焼き増し的な問題が多数出題されます。
過去問が載った問題集を1冊決めて何周もくり返し解き、知識を頭に叩き込むことが最重要です。
もちろん科目数が多い分、戦略も非常に重要です。
(例:配点や得意不得意に応じて捨て科目を作る・科目によって勉強量を調整する)
ただ、勉強の本質としては超シンプルなので、覚えておいてください。
とにかく問題集をくり返し解いていただけです。
独学 or 予備校を決める【ツールとして考えるべき】
地方上級試験を含め、公務員試験では「独学か予備校か」を選ぶことになります。
どちらでも合格は可能ですが、いずれにせよ「合格のツール」として決めるのがおすすめ。
予備校のメリット
- 参考書や問題集などを選ぶ手間が省ける
- カリキュラム・学習スケジュールは予備校に従えばOK
- 試験に関する情報がすぐに手に入る
- 勉強に行き詰まった時・内容が理解できない時にすぐ質問ができる
- 自習室や講義などの「学習環境」が手に入る
つまり、予備校に行けばシンプルに勉強だけに集中できるんです。
一方で独学の場合、これらのメリットは当然すべてナシ。
参考書選び・スケジュール決めなどを全て自分でやる必要があるので、勉強以外に時間を費やすことになります。
しかし逆に、自分で全て決められるので、より自由に勉強ができるメリットも。
予備校にしても独学にしても、人によって合うor合わないが大きい部分です。
できればお金ではなく、合格にはどっちが自分に合っているかで決めるのがおすすめ。
僕にとっては独学というツールが合っていたので、独学にした感じです。
地方上級は難しくはないですが、学習負担が大きくて、相応に大変ではあります。
1,500時間もの勉強は挫折もしやすいです。
そう考えると、予備校というツールに投資するのは十分アリかと。
※公務員予備校の徹底比較。あなたのおすすめはココ!にておすすめの予備国を詳しく紹介しています。
【まとめ】地方上級の難易度にビビる必要なし
地方上級の難易度について書きました。
記事の中でも何度も言っているとおり、地方上級の難易度にビビる必要は一切ありません。
勉強の負担は大きいですが、1つ1つがそこまで難しいわけでもありません。
また実質的に合格=内定で、かつ試験方式としてもシンプル。
比較的受かりやすい試験だと思いますよ。
地方上級の試験に合格するには、まずはとにかく「しっかり勉強すること」が必須です。
正しいやり方で、適切な量の努力ができれば、間違いなく合格できます。
ぜひご自身に合ったやり方で、地道に努力を継続してください。
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ここまで読んで「地方上級の公務員になりたい」と思った方は、合格するために動きましょう。
以下の記事を参考に、ぜひ情報収集や勉強を始めてください。
勉強を始める前に行うべきこと
「最初に必ず行うべきこと」を詳しく解説しています。
(紹介している無料ガイドブックは社会人向けです)
学生の方には同じく無料の「公務員試験入門ハンドブック」がおすすめ。
以下の記事にて詳しく紹介しています。
公務員試験の予備校比較
以下の記事にて大手の予備校について、元県庁職員の視点からまとめています。
公務員試験の独学対策
独学で県庁に首席入庁した僕の勉強法などを以下の記事でまとめています。
社会人に超おすすめの無料ガイドブック
社会人から公務員に転職したい方は、以下の記事で紹介している無料ガイドブックが必見です。