こんにちは!元公務員のHiroshiです。
教員はかなり大変みたいだけど、行政系もサービス残業があるのかな?
公務員は安定&ホワイトなイメージが強く、いつの時代も就職先・転職先として人気です。
ただ、実際には「サービス残業がある」と言われるのも事実です。
そこで今回は「公務員のサービス残業のリアル」を取り上げていきます。
本記事の内容
- 地方公務員・国家公務員の残業時間
- 公務員にはサービス残業がある。その理由も解説
- 働き方改革でサービス残業は改善傾向
この記事を書いている僕は、県庁に勤めていた経験を持つ元公務員。
本記事は僕自身の経験をもとに書いているので、参考になる部分が多いはずです。
この記事を読めば、サービス残業のリアルな部分が分かり、将来的な職業選択に生かせるはずです。
3分ほどで読めるので、ぜひ最後までお付き合いください。
前提:公務員の残業時間【国家公務員・地方公務員】
まず前提として、公務員が毎月どれくらい残業をしているのか。
地方公務員(県庁)と国家公務員の残業時間は以下です。
- 地方公務員(県庁):12.2時間/月
- 国家公務員(全体):19時間/月
- 国家公務員(本省):29.2時間/月
-県庁:平成29年地方公務員給与実態調査より推計
-国家公務員:平成30年人事院勧告の資料より
つまり地方公務員も国家公務員も、1日の残業時間の平均は「1時間以下」です。
※詳しくは以下の記事にて書いています。
関連記事:公務員の残業代はちゃんと出るの?データと実情を解説
【悲報】公務員にはサービス残業があります
県庁は8:30〜17:15・国は9:30〜18:30が定時の場合が多いです。
上のデータ上だと、県庁職員は毎日18時前に帰れて、霞ヶ関の国家公務員も19時台には帰れる計算になります。
ただ、経験者として断言できますが、これはまずあり得ません。
元県庁職員の僕の経験談
僕は県庁・本庁舎にある産業振興系の部署にいました。
そこまで激務部署ではなかったですが、課の多くの人が20時以降まで残っていましたね。
ちなみに僕は帰宅がかなり早い方でしたが、それでも平均して19時半くらいでした。
公務員の残業は部署や個人次第の部分が大きいです。
出先機関などでは、毎日定時で帰れる人も普通にいます。
一方、本庁舎には深夜まで残っている人も普通にたくさんいます
平均帰宅時間が18時前は、確実にあり得ません
必然的に「サービス残業がある」と考えるのが自然です。
国家公務員の場合
データ上では、本省=霞ヶ関の国家公務員の残業時間は30時間弱。
1日平均1時間強の残業時間なので、19時台に帰宅しているイメージですね。
しかし、霞ヶ関の激務ぶりは「不夜城」と言われるほどです。
僕は元県庁職員ではあるものの、霞ヶ関の大変さを感じる機会は多々ありました。
- 県から国に出向になった人の話
→午前3時ころにタクシーで帰るのが普通 - 国の人とのやり取り
→午前2時くらいに普通にメールがきていました
冷静に考えて、霞ヶ関の人が20時前に帰っているのはあり得ないかと。
国家公務員も残業時間はかなり差があると思われます。
特に地方機関は「残業がない」と聞くこともしばしば。
ただそれでも、残業時間のデータは明らかに実態とかけ離れています。
総じて、サービス残業が存在するのは明らかと言わざるを得ません…
サービス残業は当たり前?公務員の残業代が満額でない理由
残業があるのは、シンプルに「仕事が多い・業務が忙しい」からです。
しかし、それとサービス残業は別次元の話。
サービス残業はそもそも違法ですからね。
なぜ公務員は残業代が満額出ないのか、僕の経験をもとに解説します。
①:管理体制がずさん
公務員の残業は、以下の流れで支給される場合が多いです。
- 事前or事後に申請:僕のいた県はシステム上でした
- 上司が承認→残業代を支給
つまり、申請をしなければいくらでもサービス残業ができる仕組みなんですよね。
また、普通は「パソコンのON/OFF」や「セキュリティゲート」で勤務時間を管理する場合が多いはず。
しかし、大半の自治体には勤務時間を記録する仕組みがありません。
必然的に、残業代をつけるかは自己判断に委ねられます
もっと言うと、上司に残業を却下されたら残業代はもらえません
(記録が残らない以上、告発や訴訟も難しいのが実情でしょう)
たとえサービス残業をしても、その証拠は残りません。
この適当すぎる管理体制が、サービス残業の温床になっているのは想像しやすいかと…
(中にはちゃんと管理している自治体もあるとは思いますが)
②:予算の制限
公務員の残業代は、各課が持っている予算の範囲内でしか出ません。
いくら残業をしても、お金=予算がなかったら残業代は出せないですよね。
ちなみに、残業代の予算は部署によって全然違います。
財政課・人事課・秘書課・土木関係など、残業実績が豊富な部署=激務部署は残業代の予算を多く持っているイメージ
予算が多い部署は、残業をした分だけ残業代がもらえます。
しかし予算が少ない部署だと、いくら残業をしても残業代はもらえないわけです。
また、この予算的な都合は、自治体によっても異なる部分はあると思われます。
特別区職員の僕の友人は、セキュリティゲートあり&1時間でも残ったら残業代が出るとのこと
一方で財政的に厳しい自治体は、残業代の支給がより渋いでしょう…
いずれにせよ、予算は公務員の残業代を大きく左右する要素です。
「全部支給していたら予算がなくなる」ため、残業代が満額もらえない=サービス残業が多くなるのはよく言われますね。
③:残業申請に関する様々な不文律の存在
残業申請に関して、僕のいた自治体では「暗黙のルール」がありました。
- 3時間以上残業をしない日は、残業代を申請しない
→2時間くらい残っても申請しない=サービス残業 - 深夜まで残っても、少し短めに残業時間を申請する
- ノー残業デーには残業を申請しない
→承認する人が、より役職の高い人になるため
例えば上記ですね。
主な要因は、やはり「予算的な問題」と「ずさんな管理体制」でしょう。
システム的にサービス残業をしやすい上、お金がない以上は残業代の支給が難しいです。
職員もそれを理解しているため、不文律が常態化しているのも否めません
良いことではないですが、仕方ないと半ば諦めている感じでしょうか
(僕も上司に言われた際には、素直に従っていましたね。笑)
また、水曜or金曜のノー残業デーには「残業申請をしないように」と言われることが多々あります。
普段は課長が残業を承認するところ、ノー残業デーはさらに上の次長が承認する等と事情が変わるためです
承認する人の役職が上がると、説明などの手間が増えます。
ただ、割と「ノー残業デーの残業は違う日に申請して」と言われることもあります。
(例:ノー残業デーに2時間残業→普通の日に2時間残業したことにして申請)
管理が適当ゆえにできる「回避術」なのは皮肉なところですが、、
【朗報】働き方改革で公務員のサービス残業も改善傾向にある
ここまで書いた通り、公務員にもサービス残業はあります。
ただ、最近は働き方改革が本格的に進められており、全体として改善傾向にあります。
具体的には、2019年に施行された労働基準法や人事院規則で以下が定められました。
- 残業は原則として月に45時間・年間360時間以内
- 繁忙期などの場合も、月に100時間・年間720時間以内
- 月に45時間を超えられるのは、年間で6ヶ月まで
公務員の場合、災害対応などは例外です(コロナ対応も含まれるはず)。
しかし、それでも法令で規定されたことで、確実に良い影響が生まれるでしょう。
また僕のいた県庁でも、全体として労働環境を改善しようとする動きがありました。
例えば、以下のような通知が全職員向けに来ていましたね。
- 残業はしっかり申請するように
- 残業代の予算が足りない場合、担当者が人事課に相談するように
- 業務の簡素化の促進←具体的な例が列挙されてました
働き方改革によって、良い方向に向かっているのは事実でしょう。
公務員のサービス残業に関するまとめ
公務員のサービス残業について書きました。
残業に関する公式な統計資料は出ているものの、全くあてになりません。
実際にはサービス残業が存在する場合が多いので、信用しない方が良いでしょう。
しかし、記事の後半で見たように、公務員の残業はかなり改善傾向にあります。
残業自体も減らす方向ですし、残業代もしっかり支給する動きがあります。
これから公務員になろうと考える方は、残業に関してはあまり心配しなくて大丈夫なのかなと思います
また、公務員は安定性・休暇などの福利厚生・社会的な信頼性などの魅力もあります。
加えて、結果や数字を求めるプレッシャーもありません。
心にゆとりもできるので、客観的に考えて「ホワイト」であるのは間違いないかと。
僕自身の経験からも、公務員はホワイトだと言えます。
残業は部署次第・個人次第なので、公務員=定時帰りは嘘です。
しかし、よく言われるように「ブラック」ではないので、心配しすぎなくて大丈夫ですよ。
今回は以上にします。
本記事が公務員を考えている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
公務員になりたい方へ
ここまで読んで「公務員になりたい」と思った方もいるはず。
ぜひ以下の記事を参考に、公務員になるための準備をしましょう。
勉強を始める前に行うべきこと
「最初に必ず行うべきこと」を詳しく解説しています。
(紹介している無料ガイドブックは社会人向けですが、学生にもかなり参考になるはず)
公務員試験の予備校比較
大手の予備校について、元県庁職員の視点からまとめています。
公務員試験の独学対策
独学で県庁に首席入庁した僕の勉強法などを以下の記事でまとめています。