こんにちは!元公務員のHiroshiです。
公務員と大企業はどちらも安定している、人気の就職先です。
就活を控えた大学生の中には、どちらが良いのか迷う人も多いはず。
- 大企業の方が仕事が面白いのかな?
- 公務員の方が楽だったりする?
- 総合的にどっちが恵まれているんだろう?
そこで今回は「地方公務員と大企業を徹底比較」していきます。
ちなみに僕は、県庁に勤めていた経歴を持つ元公務員。
今はフリーランスに転身し、自分で事業をやっています。
(知り合いには大企業・公務員の両方がたくさんいます)
この記事を読むことで、将来の職業選択の参考になるはず。
なお先に結論を言うと、公務員も大企業も大差ないです。
この記事は「やりたいことが特にない大学生向け」です。
公務員であれ民間であれ、やりたいことが既に決まっている方は、その道を頑張ってください。
大企業と地方公務員を徹底比較
比較項目は以下の7点。
- 年収
- 福利厚生
- 転勤
- 仕事のやりがい
- 潰しが効くか
- ブランド力
- 難易度
僕の実体験を踏まえながら、総合的に書いていきます。
なお前提として、地方公務員=県庁などの行政職を想定しています。
また一言で「大企業」と言っても、業界や職種は様々です。
ここでは、一般的な日系大手企業の総合職を念頭にしています。
特に「大企業」は、業界や会社によって本当に色々です。
必ずしも以下の内容に当てはまらない場合もありますので、その点だけご了承ください。
①:年収
基本的に、年収は大企業の方が上です。
地方公務員はモデル年収が公開されています。
こちらは地方公務員の中で平均ランクである、群馬県庁のモデル年収です。
金額的に見て、おそらく残業代や住宅手当等は含んでいません。
- 25歳:350万円〜400万円弱
- 30歳:500万円前後
- 40歳:600万円強
すべて含めると、目安としては上記くらいかなと。
なお40歳以降は役職によって差が出てきます。
最高峰の部長まで出世して、1,200万円ほどですね。
(都会の自治体だと地域手当が加算されるので、より多くなります)
大企業の場合、会社・業界・職種によって異なります。
そのため、よくある平均給与的なデータはあまり参考になりません。
ただ総合職なら、公務員よりはほぼ確実に年収は高いです。
公務員時代、僕の年収は大手に行った同級生の誰よりも低かったです。
大企業なら、30歳で6〜700万円・40歳で1,000万円も割とありますね。
総じて年収の面を見たら、大企業の方が恵まれています。
とはいえ「年収が高いから」と大企業を選ぶのはおすすめしません。
(その理由は後半でお話ししたいと思います)
②:福利厚生
どちらも良いですが、大企業の方が良いケースが多いです。
例えば「住宅手当」ですね。
- 公務員:最高でも28,000円が多い
- 大企業:借り上げ社宅がある・家賃の自己負担が1〜2割の場合も
家賃が抑えられると、給料以上に生活にゆとりが出るものです。
(大企業は会社によって本当にバラバラではありますが)
ただ公務員の場合も、休みは非常に取りやすいです。
- 年間20日の有給休暇
→初年度の4月から10日ほど付与される - 病気になったときの病気休暇
→3ヶ月間は給料を満額もらいながら休める - 5日間の夏季休暇
→好きな時に取得可能
特に有給・夏季休暇は非常に取りやすい雰囲気。
1時間単位から取得できるので、非常に使い勝手が良いですよ。
(もちろん大企業も休みは多いとは思いますが)
総じて福利厚生面・プライベートの時間の面は、両方とも高水準かなと。
この辺はあまり心配しなくてよいでしょう。
③:転勤
大企業の場合、全国転勤はほぼ避けられません。
全国に支社があるので、数年おきに転勤しても不思議ではないです。
(僕の友人も全国津々浦々動いています)
一方、公務員は転勤の範囲が非常に限定的です。
- 基本は自治体内での異動
- 本庁間の異動なら転勤なし
国の省庁などに出向になることはありますが、数年で戻れます。
またある程度優秀な人なら、ずっと本庁の中をぐるぐる異動します。
参考:【現実】地方公務員の転勤事情。県庁も市役所も引越しあり?
④:仕事のやりがい
これは本当に人による部分です。
よく言われるのは「民間の方がやりがいがある」という点。
しかし「大企業と公務員ならやりがいは大差ない」と僕は思います。
なぜならどちらも巨大組織であり、非常に似ている点が多いからです。
- 組織内での調整や手続きが重視される
- 年功序列の給与体系
- 担当業務がある程度細分化されている
- 上流にあるため、ユーザー(住民)との距離が遠い
→特に県庁の場合
基本的には、上から降ってくる仕事をこなすのがメイン。
自分で裁量を持つのは難しい上、年功序列ゆえにモチベも持ちづらいでしょう。
必然的に、どちらも「やりがい」の部分は感じづらいでは?と思います。
(やりがいは、自分で仕事を動かす・誰かに感謝される・結果が給料に反映されたとき等に感じると思うので)
⑤:潰しが効くか?
個人的には、大企業の方がやや上という程度。
ただ、基本は大差ないと思います。
先ほど言ったように、大企業も公務員も非常に似ています。
必然的に、身につくスキル的なものも似通ってくるんですよね。
- 一般的なビジネスマナー・スキル
- 調整する能力
- 社内での人脈・社内政治
つまり長くいても、市場で広く評価されるスキルは身につきにくいです。
(大企業も公務員も、基本は定年までいるのが前提とされます)
また若手のうちは、公務員も大企業もそこそこ評価されると言われます。
難しい選考を通ってきた実績があるからです。
公務員も大企業も、ある程度の地頭の良さと努力がないと入れません。
20代の転職はポテンシャル重視ですから、転職市場において、どちらもそれなりに評価は高いでしょう。
もちろん大企業の方が、同業種の転職では評価されやすいかもしれません。
(公務員の異動は「転職レベル」なので)
とはいえ基本的に、若手・ベテランともに「潰し」の点では大差ないと思われます。
なお本当に潰しが効く人材になりたいなら、ベンチャーに行くべきです。
ベンチャーで自分で事業を回す・泥臭く契約を取る経験を積んだ方が、当然スキルも上がっていきます。
必然的に市場で評価される人材になり、転職や起業にもつながるはず。
ベンチャーの方が成果主義の色も濃いので、面白さもあるはず。
(その分ブランド力や福利厚生は弱く、仕事もキツいので人を選びますが)
少し脱線しましたが、潰しの点では公務員も大企業も大差なし。
若手のうちは方向転換できるので、そんなに気にしなくてよいかなと。
⑥:ブランド力
どちらも同じくらいあります。
公務員も大企業も、社会的な評価・他人からのウケは良いです。
ただ都会の自治体だと、大企業の方が上かもしれません。
東京などの場合、超有名企業がたくさんあります。
相対的に公務員のウケ度が少し下がるイメージですね。
ちなみに、地方だと公務員は評価が超高いです。
(単純に県庁や市役所以上の会社が少ないから)
ただいずれにせよ、どちらもブランド力があるのは間違いありません。
ブランドや信頼性の面で心配する必要は全くないと思います。
⑦:難易度
ぶっちゃけ公務員の方が簡単です。
確かに公務員は、筆記試験の負担は重いです。
県庁などの地方上級試験に受かるには、1,500時間の勉強が必要と言われます。
ただ筆記さえ通れば、あとは競争率がグッと下がります。
2次試験以降の倍率は2倍程度しかありません。
面接も2〜3回程度で済みます。
必然的に「悪い受験生を落とす」タイプの面接になります。
つまり、2次以降は失敗しなければ普通に受かるんですよね。
一方で優良大手企業ともなると、競争は非常に激しいでしょう。
志望者が非常に多く、かつ面接も何度も行われるはず。
当然他の人に差をつける必要があるので、非常に難しいと思います。
もちろん公務員試験の筆記も、それなりの難しさはあります。
ただ基本的な問題が多く、合格点も6割強です。
ある程度の学歴がある方なら、ちゃんと勉強すれば受かります。
そのため、難易度的には地方公務員の方が簡単だと思われます。
(正直、僕も「簡単だから」公務員を選んだ部分はありますね)
【就活】公務員と大企業ではどっちを選ぶべきか?
総じて、公務員と大企業は非常に似通っています。
(福利厚生やブランド力を重視する方にとっては、どちらも良いです)
結論、「転勤」をどう考えるかが分かれ目ですね。
- 転勤したくない人:地方公務員が良い
- 転勤してもいい人:大企業が良い
シンプルに上記だと思います。
転勤以外の面を言うと、大企業の方が良い場合が多いです。
しかしなんと言っても、地方公務員は転勤がほぼないのが魅力。
長く働くことを考えると、「転勤が限られること」には年収差以上のインパクトがあるでしょう。
大企業に入社すると、家を建てた後にすぐ転勤も結構あるあるですからね…
「転勤がないこと」にどれだけの価値を見出せるかが、大きな分かれ目と言えます。
年収で決めてはいけない理由
「年収が高いから大企業が良いかな」と考えた方もいるはず。
しかし、その考えは微妙だと思います。
その理由は「公務員は職場結婚が非常に多いから」です。
確かに公務員は、年収自体はそんなに高くないです。
しかし「男女で収入が変わらない」という特徴があります。
つまり職場結婚をすれば、2馬力のパワーカップルになれます。
30歳で世帯年収1,000万円・退職金も2人分です。
税制的にも、1馬力1,000万円よりも2馬力1,000万円の方が手取りが多いです。
(また各種手当の所得制限にもかかりません)
そして現実的にも、公務員は職場結婚が本当に多かったです。
それを促進する雰囲気すらあります。
つまり結婚次第で、大企業よりも金銭的には恵まれる可能性も十分あるんです。
もちろん大企業の中でも職場結婚はあると思います。
しかし「総合職×総合職」ではなく、「総合職×一般職」のケースが多いはず。
収入的には、どうしても公務員夫婦より下がるでしょう。
大手総合職同士のパワーカップルは強いですが、現実的には難しいはず。
一方で公務員は女性の収入も高く、子育てしやすい環境もあります。
職場結婚→2馬力を考えると、めちゃくちゃ強いのは間違いないです。
【補足】ゆとりが欲しいなら公務員がおすすめ
「ゆとりを持って働くこと」を優先したい人には、公務員がおすすめです。
その理由は、心理的なプレッシャーです。
大企業とはいえ、営業等だと当然ノルマがあります。
数字を取らないといけないプレッシャーも強く感じるはず。
数字を取れないと、上司から詰められることもあるかもしれません。
(総合職だと、営業も含めて色々な仕事をするはず)
一方、公務員はどちらかと言えば落ち着いています。
ノルマがあるわけではないので、プレッシャーは少なめ。
もちろん繁忙期は忙しいですが、頑張ればなんとかなります。
部署による部分は大きいと思いますが、僕の経験上、周りも穏やかな人が多かったです。
みんな「さん付け」で、詰めてくる上司もいなかったですね。
(良くも悪くも「仕事は仕事」と割り切っている人が多いので)
もちろん相対的に見れば、大企業もゆとりはあると思います。
しかし「プレッシャーは嫌だ」と強く感じる方は、公務員が良いかなと。
(実際、大企業等から公務員に転職する方はたくさんいます)
【現実】公務員・大企業ともに実際に働いてみないと分からない
ここまで読んで、以下のように感じた方もいるはず。
- 地元で安定した暮らしがしたいから公務員
- 転勤は嫌じゃないし、給料が高い方がいいから大企業
「現時点で何を重視したいか」で決めるのが、確かにベターだと思います。
でも実際には、働いてみないと分からないことも多いです。
価値観が変わった僕の実体験
あなたの今の価値観は、あくまで学生までの経験に基づくものです。
実際に働いてみて、価値観がガラッと変わっても全然不思議ではありません。
事実、僕は公務員として働く中で考え方が大きく変化しました。
- 仕事にやりがいは求めない
→自分で価値を提供したい・人の役に立ちたい - 世間体の良い仕事が良い
→世間体よりも「自分がどう思うか」を重視したい - 仕事は仕事。プライベートが充実できればいい
→自分がのめり込める仕事をしたい
上記のように、本当に真逆な人間になったと思います。
結果として、県庁を退職しました。
合わなかったら方向転換すればいい
公務員も大企業も、入ってみたら価値観が変わることは全然あります。
合わなかったり考えが変わったりしたら、その時に方向転換すればいいんです。
- 自分で裁量を持って仕事を動かしたくなった
→小規模のベンチャーに挑戦する - 自由なライフスタイルに憧れた・やりたい事業ができた
→独立や起業を目指して頑張る - 地元で安定して長く働きたいと思った
→公務員を目指す
(優良大手は新卒じゃないと厳しいですが、公務員は30歳までは受けられます)
正直、マジでそんなに気負う必要はありません。
まずは「現時点で自分は何を大事にしたいか」を考える。
そして、その中でベターな選択をする程度の気持ちでOKだと思います。
働く中で気持ちや価値観が変わった・やりたいことができたら、自分で環境を変える等の行動をしましょう。
働いてもいない状態で一生の仕事を見つけるなんて、そもそも難しいんです。
今の自分が良いなと思える仕事を選べば、学生のうちはOKだと思いますね。
【まとめ】地方公務員と大企業ではどっちが勝ち組か
ひとことで「大企業」と言っても括るのは難しいです。
また今回は、業務内容等は考慮していません。
大企業と言っても、業界や会社によって事情は異なってきます。
総じて公務員も大企業も、客観的に恵まれています。
一般的に見て、普通にどちらも勝ち組でしょう。
というより、勝ち組か否かは自分の感じ方次第です。
充実感を持って働ける・大事な家族がいる等すれば、どんな仕事でも勝ち組になり得るのかなと思います。
どっちが勝ち組云々で決めるのは、正直不毛です。
何度も言いますが、業務内容・やりたいこと・自分の価値観によって決めるのが良いですね。
とはいえ何もやっていない状態だと、価値観も何も分からないはず。
学生の皆さんは、ぜひ「情報収集」から始めてみてください。
- インターンシップに行ってみる
- 公務員・大企業ともに先輩に話を聞いてみる
- 公務員について色々調べてみる
小さな行動を始めることで、ご自身の価値観が少しずつ分かってきます。
それが現時点での、後悔のない選択に近づくはずです。
(入ってみて「違うな」と思ったら、環境を変えましょう)
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無料でもらえるので、ぜひチェックしてみてください。
(以下の記事で詳しく紹介しています)
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