こんにちは!元公務員のHiroshiです。
- 「公務員は本庁と出先で忙しさが違う」
- 「県庁や市役所の出先機関はラクで毎日定時で帰れる」
公務員になろうかなと思っている方、公務員に内定した方であれば、このように聞いたことがある方も多いでしょう。
しかし、なぜそのように言われるのか、本当に楽なのかと疑問に思う方も少なくないですよね。
そこで本記事では、「なぜ県庁や市役所の出先機関にいる職員は楽で言われるのか」をテーマに取り上げていきます。
元県庁職員の僕の経験なんかを踏まえて書いていきますので、ぜひ参考にしてくださいね。
出先機関とは【本庁との関係性】
そもそも「出先機関とはなにか」という話ですが、簡単に言うと県庁・市役所の本庁舎以外の事務所のことです。
例えば、県の出先機関を挙げてみると…
- 県税事務所
- 農林事務所
- 保健所
- 土木事務所
- 福祉事務所
- 児童相談所
- 図書館・博物館などの施設
こんな感じですね。
どこの都道府県にでもあるような出先機関をザッと挙げてみました。
本庁と出先機関の関係について
- 本庁:業務の統括・各出先機関の取りまとめ
- 出先機関:現場での仕事(住民対応や許認可など)
本庁と出先機関の違いはこんな感じ。
本庁で出した指示(事業や政策、方針)に基づいて、出先で業務を遂行(直接的なサービス)するというイメージでOKです。
そのため行政組織において、各出先機関は本庁の部署の管轄の下に置かれます。
例えば、県税事務所でいうと上のような感じですね。
県内各地域に県税事務所があり、それを本庁の税務課が所管しています。
職員の立場に主従関係があるわけではありませんが、組織としては本庁の方が「上」になると思っていただいて大丈夫です。
【公務員の仕事】県庁や市役所の出先機関は本当に楽?【楽と言われる理由】
結論、出先機関はほぼ間違いなく本庁より暇で楽です。
僕自身は出先で働いたことはありませんが、出先機関の同期や出先機関にいたことのある先輩は、みんな口を揃えて「暇だ」「有給はフル消化できる」と言っていました。
では、なぜ出先機関は楽なのか詳しく解説していきます。
出先機関は暇で楽と書きましたが、これはあくまで「行政職(事務職)」の場合です。
技術職の公務員は出先が主戦場なので、専門的な知識を使った指導などを行っていきます。
むしろ本庁よりも忙しい場合もありますので、本記事の内容はあくまで行政職(事務職)の話だと思ってください。
出先機関が暇で楽な理由①単純に業務量が少ない
出先機関が楽な理由、まず単純に業務量が少ないことです。
本庁の職員はひとりで何個もの事業・業務を受け持つのに対し、出先機関は各事務所で行う業務が決まっているので、職員ひとりひとりの業務量は本庁ほど多くありません。
本庁から出先に異動した僕の知り合いの県庁職員は、「出先の仕事は午前中で全部終わる」と言っていましたね(笑)。
また、出先機関の仕事で何か問題が起こった際にも、基本的には上位である本庁の所管課に投げるだけでOK(本庁で対応策を協議して解決に持っていく感じです)。
仕事でわからないことがあった場合でも、所管課に聞けば対応してくれます。
出先機関が暇で楽な理由②議員対応がない
不毛で、かつ時間ばかり取られる生産性のない仕事No.1の「議会・議員対応」。
議会は本庁舎で行われるので、出先機関の職員にはほぼ関係ありません。
地方公務員だと議会は年に4回あるのですが、その度に想定Q&Aを作ったり、資料を更新したりするわけです。
議員からの質問が自分の担当業務だと、さらに議員勉強会があったり、答弁を考える&夜中まで細かい言い回し等を議論したりします。
出先機関はこれを一切やらなくて良いので、かなり楽だと言えるでしょう。
なお、議員対応・議会対応のリアルについては以下の記事で赤裸々に語っているので、興味がある方はぜひご覧ください。
出先機関が暇で楽な理由③予算要求がない
出先機関は本庁の指令に基づいて業務にあたるので、予算も本庁から割り振られます。
つまり、予算は本庁が取ってくれるので、出先機関では予算要求をする必要がないんです。
予算を取る仕事はかなり大変で、予算要求の書類をつくったり、財政課からのヒアリングに対応したりする必要があり、本庁の職員は深夜までの残業を強いられます。
出先機関でも、予算要求に関連する資料を作る際に多少協力する(本庁にデータを送る等)ことはありますが、実際に予算に関する実務をやるよりは圧倒的に業務は軽いですね。
まとめると、「議会」と「予算」という公務員の仕事で大変なもの2トップをやる必要がないので、出先機関の仕事は暇で楽と言われています。
(予算要求の仕事については以下の記事でまとめていますので、興味のある方はぜひ!)
【超人気】出先機関に行くのはどういう公務員?【出世は難しい】
前述のとおり、出先機関は仕事の量が少なくて楽なので、異動希望ではめちゃくちゃ人気です。
とはいえ出先機関に行ける人は限られていて、以下のような人が出先機関に勤務しています。
出先機関に行く公務員①若手
まず出先に行けるのは20代の若手職員です。
というのも、多くの都道府県庁・市役所で、「若手は本庁と出先の両方に行って業務経験を積む」というキャリアプランになっているから。
ちなみに僕がいた県庁では、入庁時に本庁スタート・出先スタートが半分ずつで、1回目の異動で入れ替わるという仕組みでした。
そのため、若手は優秀だろうとなかろうと出先機関に行くことが大半ですね。
出先機関に行く公務員②仕事ができない職員・出世コースから外れた職員
若手以外で出先機関に行く職員は、仕事ができないorやらない職員が多いです。
基本的に公務員のいる行政組織は、できる人ほど中央(=本庁)にいて難しい仕事をバリバリこなします。
優秀な人が「楽な出先に行きたい」と希望をしたところで、人事課としては「君の能力では出先には行かせない」となってしまうんです。
つまり、ある程度の年齢になっても出先にいるということは人事からの評価が低く、仕事ができないと見なされていることと同義。
まぁ実際に、出先にいるある程度の年齢の職員にはヤバめの人が多いですからね。。
僕が実際に仕事で出先機関のある庁舎に行ったときに目にしたり、出先にいる同期から聞いた中だと、以下のような職員もいます。
- 1日中新聞を読んでいるだけの人
- なぜか公用車の車種・色などをExcelでまとめている人
- とにかく仕事の邪魔しかしない人
公務員はよほどのこと(刑法犯になる等)をしない限りクビにならないので、こういう方々でも人並み以上の給料がもらえます。。
まぁここまでの人はそういないとしても、出先機関はベテランの方を中心に仕事ができない人が集まるのは否めないので、当然出世は非常に難しいです。
逆に言うと、この類の人はあえて仕事で手を抜くことで、出先を渡り歩くまったり公務員人生を過ごせます。
それでも最終的には出先の課長(=本庁の課長補佐クラス)くらいまでは昇進する方が多いですね。
年収では700万〜800万円程度には到達するので、ある意味コスパは良いのかもしれませんね。
まとめ
本記事の内容をまとめておきます。
- 出先機関とは、本庁の部署の所管におかれている県庁・市役所等の機関
- 出先機関の仕事が楽なのは、①業務量が少ない②議会対応がない③予算要求がないという3つの理由
- 出先機関に行くのは、若手職員や仕事ができない・やらないベテラン職員であることが多い
県庁・市役所の出先機関にいる公務員についてまとめました。
本記事が少しでも参考になれば幸いです。
今回は以上になります。ありがとうございました。