こんにちは!元公務員のHiroshiです。
市役所の方が良いのかな…
学生・社会人の方には、公務員の転勤事情を知りたい人がとても多いです。
転勤は「公務員になってからの生活」を考える上で超重要なので、気になりますよね。
そこで今回は「地方公務員の転勤事情」を取り上げます。
本記事の内容
- 地方公務員の転勤の概要・頻度・分かる時期・手当など
- 市役所職員の転勤事情
- 県庁職員の転勤事情
この記事を書いている僕は、県庁に勤めていた経験を持つ元公務員です。
僕自身の経験を踏まえて、リアルをお話ししていきます。
※YouTubeは登録者が1.7万人。現役公務員の方からコメントで色々教えてもらえます
この記事によって地方公務員の転勤事情が分かり、志望先選びの参考になるはず。
3分ほどで読めるので、ぜひ最後までお付き合いください。
市役所・県庁の地方公務員の転勤の概要【頻度・手当・引っ越し】
地方公務員の転勤は、基本的に「部署異動」と思えばOKです。
- 勤務箇所が同じ部署を異動:転勤ではない
…例:本庁の部署→本庁の部署 - 異動で勤務箇所が変わる:転勤
…例:本庁の部署→出先機関
勤務地が変わるかによって、転勤になる異動・ならない異動の2つが分かれます。
上記をもとに、転勤をより詳しく見ていきます。
①:転勤の頻度【何年に1回?】
地方公務員の場合、異動の頻度はおよそ「3年に1回」です。
必然的に、最大「数年に1回のペース」で転勤の可能性があります。
②:転勤の範囲
地方公務員の転勤範囲は、基本的に「その自治体の中」です。
- 市役所・町村役場:その市町村の中
- 都道県庁:その都道府県の中
役所は本庁のほか、自治体全域に出先機関・出張所があります。
出先機関にも職員がいるので、必然的に自治体の範囲=転勤の範囲になります。
③:転勤・引っ越しにあたっての手当
転勤によって引っ越しをした場合、手当=赴任旅費が支給されます。
この赴任旅費の金額は「距離」によって異なりますが、だいたい赤字です。
引っ越し費用はかなり高いですからね。
退去費用・引越し業者代・新居の初期費用などで数十万円はかかります。
もらえないよりは良いですが、あまり期待できません…
例えば東京の大学から地元に戻った場合でも支給対象です。
④:転勤が分かる時期
転勤は異動の1つなので、把握できる時期も異動と同じです。
つまり、3月中旬〜下旬にならないと転勤の有無・場所が分かりません。
異動の内示は「3月の地方議会終了後に出るのが慣例」の自治体が多いためだとよく言われます。
例外として、出向になる=転勤距離が長い場合は、少し早めに転勤が分かったりします。
(といっても3月上旬ですが…)
市役所・町村役場職員の転勤事情
市役所や町村役場職員は、引っ越しを伴う転勤はほぼありません。
前述のとおり、異動は基本的にその自治体の中です。
出先機関・出張所に転勤になっても、普通に通える=引っ越しの必要なしでしょう。
例外:市役所職員が転勤で引っ越す場合
ただ例外として、優秀な若手職員は「出向」があります。
- 県や他市との人事交流
- 国の省庁への出向
例えば上記の場合は、勤務地がその市の外になります。
引っ越しを伴う転勤になる可能性もあるでしょう。
(自治体によって「枠」が異なるので、一概には言えない部分もあります)
ただ、出向は数年で終わり、また市役所に戻ります。
出向はあくまで例外なので、基本的に市役所職員は「転勤なし」と考えて良いかと。
都道府県庁職員の転勤事情
前述の通り、地方公務員の異動・転勤の範囲は自治体の中です。
都道府県は面積が大きいので、必然的に異動の範囲も広くなります。
確かに「県の最北端→最南端に転勤」の可能性もあり、引越しが大変だと感じるでしょう。
心配になると思いますが、総じてあまり気にしなくて大丈夫です。
以下にて県庁職員のリアルな転勤事情を紹介します。
若手はほぼ確実に転勤あり
どの自治体でも、入庁間もない20代の若手職員はほぼ確実に転勤があるでしょう。
理由は「教育的な観点」です。
役所は全体を統括する本庁・現場の出先機関に分かれます。
若手のうちに両方を経験させて、育成する場合がほとんどです。
若手が出先に行く場合は、あえて実家から遠い庁舎に配属になることもあります。
※「色々な地域を見させる」という意味合いです
詳しくは後述しますが、出先への異動ではなく、出向になるケースもあります。
出向となると、異動範囲は県外ですね。
ただ、独身の20代ならフットワークも比較的軽いでしょう。
むしろ「色々な場所に住めて楽しそう」と感じる方も多いと思います。
それなりに評価されていればずっと本庁勤務
20代後半〜30代以降になると、少し話が変わってきます。
そこそこ評価されていれば、基本的にずっと本庁勤務です。
役所の組織は「優秀な人ほど中枢に配置」されます。
中枢とは、もちろん「本庁」です。
そこそこ評価されている人は本庁の部署をぐるぐる異動します
「本庁の部署を異動する=転勤はない」と言えます。
というのも、基本的に本庁の方がずっと大変です。
人事も「できる人は出先に行かせない」と考えているのもかもしれません。笑
転勤を気にする必要はさほどないかなと。
ただ、上記はあくまで「行政職・事務職」の話です。
技術職は出先機関が主戦場で、出先を中心に異動します。
(優秀な人は本庁に異動することはありますが)
事情に応じて配慮してもらえることも【女性も安心】
さらに県庁職員の場合、異動・転勤は事情に応じて配慮してもらえます。
というのも、毎年秋頃に人事に関する面談があります。
- 子育て
- 介護
- 自宅の場所
- その他の家庭の事情
面談で上記のような事情を伝えれば、勤務箇所を配慮してもらえることが多い印象です。
特に小さな子どもがいる女性は、業務に比較的余裕のある部署に配属されることも。
(もちろん男女問わず休暇は取りやすい雰囲気ですよ)
県庁職員は、確かに理屈上は広範囲に転勤する可能性があります。
しかし実際には、転勤をさほど心配する必要はないかと。
【例外】県庁職員が転勤で引越しする場合【県外も】
たとえ県庁職員でも、基本的には転勤を心配しすぎる必要はなし。
しかし例外的に、評価されている人が遠方へ転勤するケースもあります。
(若手の転勤は前述したので、それ以外です)
①:出向(県内の市役所・他の県庁・国の省庁・民間企業)
市役所職員と同じく、県庁職員も出向があります。
- 県内の市役所:40〜50代が幹部として出向するケースも
- 他の県庁
- 国の省庁(霞ヶ関)
- 民間企業(東京都内・まれに海外支所)
代表例が上記で、必然的に遠方への転勤になりますね。
(県内の市役所の場合、引越しをしないケースも考えられます)
この中でも、特に優秀な人は国や民間に出向になります。
国なら場所は東京ですし、民間の場合も他県の企業に行くケースも。
地銀の海外支局に派遣された人も聞いたことがありますね。
県庁の方が、出向先がより多様なイメージです。
出向になる年齢は20代後半〜30歳くらいが多いです。
出向先から戻ってからは、本庁の関係課や出世コースを歩んでいきますね。
②:ポストの関係での転勤
上記の通り、そこそこ評価されている人は基本的にずっと本庁勤務です。
しかし、ポストの関係で評価の高い人が本庁から転勤するケースもあります。
例:本庁の課長補佐→出先の次長→本庁の課長級
※役職は自治体によって異なるので、すんごいざっくりです
加えて以下の場合は、出先機関でも優秀な人が就きます。
- 出先機関の長
…トップは次長or部長級=県庁での出世の最高峰 - 東京事務所:県庁・政令市は置いている
…東京事務所は出先でも別格。優秀な人が行く
上記はベテラン職員でも異動することがあり、引越しが必要な可能性が高いですね。
例外として覚えておくと良いかと。
地方公務員の転勤に関してよくある質問
地方公務員の転勤に関してよくある質問が以下の3点です。
- 結婚するとより配慮されるもの?
- 転勤希望は通る?
- 転勤なしの公務員はある?
分かる範囲ではありますが、それぞれ回答していきます。
①:結婚するとより転勤は配慮されるもの?
体感ですが、配慮されている印象はありました。
- 夫・妻のそれぞれの実家
- 家の住所
- パートナーの勤務地
例えば上記が、勤務先に配慮されていた印象がありますね(面談等で事情を伝えていたのだと思われます)。
特に職員どうしの結婚になると顕著です。
僕の知る限りですが、夫・妻の両方が自宅から無理なく通える勤務先になっていました。
県庁職員は、本庁舎の近くに家を立てる人が多いです。
「夫婦どちらも本庁」のパターンが非常に多かったと記憶しています。
転勤希望は通る?
転勤希望は必ずしも通るわけではないかなと。
もちろん事情によって配慮はされるでしょう。
しかし、異動・転勤は空いたポスト等も踏まえて決まるもの。
また全員の「〇〇に転勤したい」を聞くことは不可能です。
好きな場所に転勤できるかは未知数と言わざるを得ないですね…
(もちろん転勤や異動は拒否できません)
「甘くないな」と言ってましたね(笑)。
転勤なしの公務員はある?
県庁・市役所ともに多かれ少なかれ転勤の可能性はあります。
転勤がほぼないと思われる公務員は、強いて言うなら以下の2つですね。
- 任期付きの職員
→3年程度の契約のいわば「契約社員」 - 準公務員
→「みなし公務員」と言われる公益法人等の職員
(準公務員の中には、人事交流的な形で転勤する場合もあるかもしれませんが)
求人サイト等に記載されているので、調べてみてください。
ただ断言しますが、転勤に関して地方公務員は超恵まれています。
- 公務員と同等の待遇の大手企業は、全国転勤の場合が多い
- 公務員は市内・県内での異動
- 県外転勤の可能性もあるが、数年で確実に戻れる
「転勤で恵まれているから公務員に転職した」という方も多くいます。
確かに「完全に転勤なし」は難しいです。
しかし転勤を基本避けたい方には、確実に地方公務員はおすすめですね。
地方公務員の転勤に関するまとめ【県庁・市役所】
地方公務員の転勤事情を書きました。
転勤に関しては、総じてさほど不安に感じなくて大丈夫です。
異動範囲は自治体全域なので、県庁=転勤が大変というイメージがあるかもしれません。
ただ実際には、面談で事情を伝えられる上、組織・異動の仕組みからも大きな心配には及びません。
市役所と県庁で迷う人の中には、転勤を重要視する人もいるでしょう。
もちろん転勤が絶対に嫌なら市役所ですが、県庁でも大丈夫かなと。
転勤以上に、業務内容・仕事の面から決めるのが良いと思いますよ。
それでは今回は以上にします。
本記事が少しでも参考になれば幸いです。
公務員になりたい方へ
ここまで読んで「公務員になりたい」と思った方もいるはず。
ぜひ以下の記事を参考に、公務員になるための準備をしましょう。
勉強を始める前に行うべきこと
「最初に必ず行うべきこと」を詳しく解説しています。
(紹介している無料ガイドブックは社会人向けですが、学生にもかなり参考になるはず)
公務員試験の予備校比較
大手の予備校について、元県庁職員の視点からまとめています。
公務員試験の独学対策
独学で県庁に首席入庁した僕の勉強法などを以下の記事でまとめています。