こんにちは!元公務員のHiroshiです。
国を動かすエリートである「官僚」。
官僚とは、公務員試験における最高峰である「国家公務員総合職」という区分で採用された方のことを指します。
国家総合職(=官僚)の方々は国の中枢を担っている存在で、公務員の中でもトップエリート。もちろん出世のスピードもめちゃくちゃ早いです。
そんな国家総合職の公務員がどれくらいの年収をもらっているのか気になりませんか?
そこで本記事では、「国家公務員の給料・年収・ボーナス」をテーマに取り上げます。
本記事の内容
- 国家総合職の公務員の年収・給料(月給)・ボーナス
- 国家総合職は年齢に応じてどのように役職が上がっていくのか、給料とともに丁寧に解説
国の公式な統計資料をもとに、元県庁職員の筆者が本気でまとめました。
官僚の給料事情が知りたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
国家総合職(官僚)の公務員の年収・給料・ボーナスのデータは非公表
まず前提として言っておくべきことが、「国家総合職(官僚)単体の年収や給料、ボーナスに関するデータは公表されていない」ということ。
「行政職の国家公務員」というくくりでデータはあるものの、これは「国家総合職(キャリア官僚)」と「国家一般職(ノンキャリ)」をまとめたものになっています。
(以下でくわしくご紹介しています)
というのも、国家総合職も国家一般職も同じ俸給表が適用されるからです。
総合職(キャリア官僚)と一般職(ノンキャリ)とでは出世や昇進のスピードに圧倒的な差がありますが、俸給表が同じ以上は厳密には分けられないのでしょう。
国家公務員の年収モデルは公表されているが…
とはいえ一応、内閣人事局令和元年版パンフレットにて国家公務員のモデル年収が公表されているので、それを見てみましょう。
見る限りだと明らかに一般職と総合職が混じっていますね。
「25歳係員」「35歳係長」「50歳地方機関課長」あたりは一般職でしょう。
国家総合職の給料・年収を図る上では一応の目安にはなるかと思われますが、かなりざっくりとしているので分かりにくいですよね。
手当もどの程度含まれているのか微妙ですし。
上の表の「本府省課長」以上は、おそらく諸手当も含んだ正確な金額になっているかと思われますが、その他は手当をあまり含んでいないように思えます。
そこで本記事では、国が発表している最新の人事院勧告資料等をもとに、国家総合職(官僚)の公務員の年収・給料・ボーナスについて徹底的に調査し、推計しました。
より細かく年齢ごとに分けるとともに、地域手当や残業代についても加味した金額を記載しています。
推計なのでおおよその金額にはなってしまいますが、国の統計資料をもとにしていることもあり、1つの指標にはなりますので、ぜひ参考にしてください。
国家総合職(官僚)の公務員の年収・給料・ボーナスを調査!年齢・出世した役職ごとに本気でまとめた
最新の人事院勧告資料から推計した、国家総合職(官僚)の給料は以下の表のとおりです。
時間外手当(残業代)や地域手当、さらに管理職手当などを考慮しているので、かなりリアリティのある金額になっているかと。
年収 | 給料 | ボーナス | |
25歳 | 631万円 | 407,156円 | 142万円 |
30歳 | 761万円 | 488,949円 | 174万円 |
35歳 | 788万円 | 506,039円 | 181万円 |
40歳 | 886万円 | 577,303円 | 193万円 |
45歳 | 936万円 | 608,404円 | 206万円 |
50歳 | 1,253万円 | 742,440円 | 362万円 |
※50歳=課長については、内閣人事局令和元年版パンフレットのモデル年収をそのまま記載
- 給料は「俸給+地域手当+扶養手当+残業代or管理職手当」で計算
- 俸給は平均的な出世を想定し、25歳=3級・30歳=5級・35歳=6級・40歳=7級・45歳=8級の平均給与額で計算
- 地域手当は平均額(=42,546円)を一律上乗せ
- 扶養手当は平均額(=10,649円)を一律上乗せ
- 時間外手当は、H30年人事院勧告資料に記載の国家公務員の平均残業時間=19時間/月より算出した、残業代52,744円を上乗せ(6級課長補佐まで)
- 室長級以上には時間外手当でなく管理職手当が支給されるので、室長級(7級・8級)には94,000円の管理職手当を上乗せ(国家公務員の諸手当の概要より)
- ボーナスは基本給(俸給+地域手当+扶養手当)×4で算出
毎月の給料の75%〜80%ほどが手取りになるので、各年齢ごとの手取りの月給の目安は以下の通りです。
- 25歳:約31万円
- 30歳:約38万円
- 35歳:約39万円
- 40歳:約45万円
- 45歳:約47万円
- 50歳:約57万円
また、住居手当や通勤手当などは加味していないので、給料にさらに手当額がプラスされる場合も。
年齢ごとの給料事情について、以下でさらに詳しく解説していきます!
国家総合職(官僚)の公務員1年目の初任給・年収は?
上では触れませんでしたが、国家総合職の公務員の初任給についても触れておきますね。
平成30年人事院勧告のデータより算出した初任給は以下のようになっています。
初任給 | 総支給額 | 手取り | |
総合職(院卒) | 211,500円 | 253,800円 | 248,800円 |
総合職(大卒) | 185,200円 | 222,240円 | 217,240円 |
※本府省(霞ヶ関)勤務と仮定し、総支給額には地域手当20%を含む
※手取り額は「総支給額ー5,000円」で算出
ここから通勤手当や住宅手当、時間外勤務手当などがさらに追加されるので、もらえる初任給の金額はさらに増えますね。
しかし、これはあくまで「初任給」の金額。
初月は引かれる金額が所得税程度しかないので手取り額も多めですが、5月以降からは年金や社会保険料などがゴッソリ引かれるので要注意です。
なお、ボーナスに関しては夏(6月)は15万円〜20万円ほど、冬(12月)は満額の50万円ほどもらうことができます。
そう考えると、国家公務員総合職(官僚)1年目の年収は…
330万円〜370万円+α(諸手当+残業代)
という感じ。
まぁ諸々の手当などを考えると、おそらく400万円は超えてくるでしょうね。
25歳国家総合職(官僚)の公務員の年収(3級=係長級)
国家総合職として入庁した方は、大卒から入庁3〜4年目(=25歳くらい)になると、3級の係長級に昇進します。
一般職だと係長級に昇進するまでに、入庁から10年以上かかるのが普通なので、出世のスピードがケタ違いですね。
ちなみに諸手当込みで600万円程度の年収が見込めます。
30歳国家総合職(官僚)の公務員の年収(5級=課長補佐級)
大卒から8年目くらい(=30歳程度)になると、5級の課長補佐級に昇進します。
ちなみに、一般職の方が課長補佐級に到達するのは45歳くらいになってから。
課長補佐というと、答弁書の作成や政策の立案、予算などをバリバリと行う役職ですから、総合職として入庁すると若いうちから国の中核として業務にあたるということですね。
ちなみに年収は750万円以上になります。
35歳国家総合職(官僚)の公務員の年収(6級=課長補佐級)
出世のスピードの差こそあれ、35歳も課長補佐級の方が一般的です。
なぜなら、一言で「課長補佐」といっても、ランクが幅広いからですね。
小さな「班」を束ねるような課長補佐もいれば、課長の右腕として動く「課のNo.2」レベルの課長補佐まで様々です(これは県庁などでも同様)。
国家総合職の官僚の方でも、いろいろな「課長補佐」を経て出世していきます。
ちなみに年収は800万円弱といったところです(残業代次第でもっと増えますが)。
40歳国家総合職(官僚)の公務員の年収(7級=室長級)
長めに課長補佐を経験し、40歳くらいになってから7級の室長級に出世するのが一般的です。
なお、7級以上は一般職の方がなるのは非常に難しいと言われる階級。
年収は900万円程度です。
45歳国家総合職(官僚)の公務員の年収(8級=室長級)
ひと昔前までは45歳くらいで本府省の課長級になるのが普通でしたが、現在は上が詰まっているせいか、45歳でも室長級なのが珍しくないようです。
ちなみに年収は1,000万円弱といったところ。
また、30代までは比較的横並びで出世していきますが、40代になると出世にも差が出てきます。
出世が比較的早い人は、45歳くらいで課長になるようですね。
50歳国家総合職(官僚)の公務員の年収(9級or10級=課長級)
40歳後半〜50歳くらいになると、本府省の課長級に昇進します。
年収は1,000万円をゆうに超えてきますし、国の課長というとかなりの権力も持つようになるので、各業界にも大きな力が及びますね。
なお、順調に出世する人は、課長級のポストを5年〜10年程度経験したのち、「審議官」などに昇進していきます。
50代以上の国家総合職(官僚)の公務員の年収(指定職)
官僚の中でも出世レースを勝ち抜いてきた猛者たちは、50代以降に課長よりもさらに上の役職に昇進します。
なお、課長よりも上の役職は「指定職」と言われ、課長以下(=一般行政職)とは異なる俸給表が適用されるので給料が大幅にアップ(俸給表は内閣官房の資料にあります)。
指定職の年収として、だいたいの目安は以下の感じですね。
- 審議官・部長:年収1,500万円程度
- 局長:年収1,800万円程度
- 事務次官:年収2,300万円程度
熾烈な出世競争を勝ち抜いた、同期の中でただ1人だけが「事務次官」という事務方の最高峰の役職に就くことができます。
国家総合職(官僚)の年収が魅力!公務員になりたい!と思った方へ
国家総合職(官僚)の年収は公務員の中でもズバ抜けて多く、年収1,000万円は約束されています。
この記事を読んで「国家総合職を受けたい!」「官僚になりたい!」と思った方は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。
公務員試験の勉強法・予備校の選び方についてまとめた記事
公務員試験を受験するにあたっては、まず独学で勉強するか、予備校に通うかを決めないといけません。
以下の記事を参考に、ご自身に合った方を選んでください。
※国家総合職試験は難易度もめちゃ高いので、基本的には予備校がおすすめです。
社会人から公務員に転職したい方はまずはこちら
社会人の方が公務員に転職しようと考えた場合、以下の記事で紹介しているガイドブック(無料)は必読です。
おわりに。国家総合職(キャリア官僚)の年収は高い?安い?
ここまで国家総合職の官僚の年収について書きましたが、高いと思いましたか?それとも安いと思いましたか?
個人的には、かなり安いと感じましたね。
確かに一般的に考えると、国家総合職の年収は高いでしょう。
30代で800万円近くもらえますし、年収1,000万円プレーヤーになることもほぼ確実にできますので。
ただ、官僚は非常に優秀ですし、加えて超激務なので、それに見合った給料かと言われると「うーん」と言わざるを得ないですね。
まぁ官僚の方は、給料よりも「国を動かすスケールの大きな仕事ができる点」に魅力を感じているのでしょう。
ただ、正直もう少し官僚の収入を上げないと、本当に優秀な人が官僚になる(=日本を動かす仕事を選ぶ)という選択をしなくなる懸念があります。
事実、かつては東大・京大の最も優秀な層は官僚になっていたようですが、今ではトップ層は起業や外資系起業を選ぶようです。
そして、霞ヶ関で採用を担当している総合職の友人によると、東大・京大の中でも3番手くらいの層が官僚になっているとのこと。
公務員の給料については色々と意見が出るところではありますが、官僚などの優秀&結果を出している方に関しては、数字で評価するのも大事な視点かなと思います。
今回は以上になります。ありがとうございました。
行政職公務員(国家・地方)の給料に関する完全まとめはこちら