こんにちは!元公務員のHiroshiです。
- 利益を追求しない公務員は、広く社会貢献ができる素晴らしい仕事
- 公務員は人の役に立てる仕事なので、やりがいも非常に大きい
公務員の仕事に関して調べると、こんな記載をよく見かけますよね。
公務員なら多くの人に貢献できるみたいだから、ぜひ自分もなりたい!
「公務員=人の役に立てる」と分かると、上記のように思う方もいるでしょう。
でも断言しますが、「人の役に立つ仕事がしたい→公務員」と考えるのは、絶対やめるべきです。
現実とのギャップに悩み、その選択を後悔する可能性もあります…
今回はその理由について、僕自身の経験からお話します。
ちなみに僕は、県庁に行政職として勤めていた経験を持つ元公務員です。
公務員のリアルな部分まで踏み込んで書くので、公務員を考えている方はぜひ最後までご覧ください。
人の役に立てるから公務員になりたい←これをやめるべき理由
最初に結論を言うと、「人の役に立っている実感を得られないから」です。
もちろん、間接的には誰かの役に立っているかもしれません。
しかし、「自分の仕事が人々の暮らしに貢献している」等のやりがいを直接感じることは、正直ほぼありません。
知り合いの職員もほぼ同じ感じだった印象です。
「人の役に立つ実感を得られない理由」を3つ説明します。
理由①:体裁や理屈を重視。上や議員ばかり見る
1つ目の理由が、内部手続きが煩雑で、とにかく体裁にこだわること。
「公務員は住民のために仕事をする」と言われますが、実際は組織の中ばかり見ます。
- 仕事を進める際には、上が納得するかが全て
→仕事の多くが上への説明。資料を延々と作る - どうでもいいような言い回しを決める議論(例:議会答弁)
- 文書では、さほど重要でない部分まで細かく修正
つまり、組織内部での体裁や理屈がより重視されるわけです。
必然的に、仕事では常に「上や議員がどう思うか」を考えることになります。
直接的に「住民の役に立つ実感」を得られるわけがありません。
巨大な行政組織では、上や議員の意向がすべて。
たとえ自分では無駄だ・価値がないと思う不毛な仕事でも、やらないといけない場面も多いです。
(公務員に限らず、ある程度の規模感の組織なら同じかもですが)
人の役に立ちたい気持ちが強いと、かなりキツいと思いますね…
この辺の話については、僕のYouTube動画の方で詳しくお話ししています。
(公開から2ヶ月で14万再生と、かなり反響がありました)
前例踏襲も弊害
人の役に立ちたい方は、上記のような意気込みを持つ人も多いかと思います。
しかし、行政組織の中では「前例」をもとに説明することが重要視されます。
- 前例がある過去の事業:潰すのが難しい
→事業に関連する事業者・団体からの圧力もある - 新規事業:作るのが難しい
→他の自治体の先例をもとに財政課に説明する必要あり
上記のようになるわけですね。
斬新な事業・仕組みを考えても、前例踏襲のせいで認められにくいんです…
また、公務員はご存知の通り「年功序列」です。
頑張って結果を残しても、サボっていても、給料はほとんど変わりません。
出世に差がつくのは40歳以降で、それまでは同期横並びになります。
言うまでもなく、新規事業を作るのも既存事業を潰すのも大変な仕事です。
そして大変な仕事をしてもリターンがほとんどないので、多くの人があまり頑張らない方向にいきます…
当初は「人の役に立ちたい」気持ち・情熱があっても、時間が経つごとに薄れていくはずです。
行政組織は体裁・理屈・慣例が重視されるので、人の役に立つ実感を持つのは難しいと言えます。
理由②:仕事が間接的であり、住民から遠い
2つ目が、仕事自体が間接的であり、サービスを享受する住民から遠いこと。
自治体の公務員はいろいろな事業を通じて、地域住民や企業の支援を行っています。
確かにこれは人の役に立っているのですが、直接的に事業を実施するわけではありません。
基本的に事業は「委託」という形式で行われます。
- 事業を実際に行う事業者(企業や団体)を選定:委託
- 委託された事業者が、直接的な支援を行う
- 委託元(自治体)は、事業の進捗の確認などを主に行う
つまり、支援を受ける側との距離が遠く、あくまで間接的な支援にとどまります。
役に立ってる実感を得るには至らないケースが多いわけです。
もちろん直接的に指導をしたり、自治体主導でイベント等を開催することもあります。
その時は大変でしたが、イベント参加者の方の喜ぶ顔が見られて、大きなやりがいを感じましたね。
しかし全体を見ると、この類の事業・仕事はかなり少ないです…
また前述のように内部手続きの仕事も多く、上や議員を見ることの方がメイン。
そのことからも、サービスを受ける対象の住民から遠く、役に立っている実感が得にくいのは想像できます。。
理由③:サービスは当然と思われるor嫌われる
市役所などは住民に近いから、役に立つ感も得られそう。
この指摘もその通りで、そもそも県庁は住民との距離が遠くなりがちです。
しかし、住民と直接接する市役所等の公務員でも、正直役に立っている感は得にくいかなと。
- 税金を払っている→サービスは当然と思う住民も多い
- 公務員はそもそも嫌われる
理由としては上記のとおりです。
住民の方は税金を徴収されているので、行政サービスを当然と思う人も少なくありません。
「公務員の仕事=当然」の認識の人は、クレームは言っても感謝はしないでしょう。
人の役に立っている実感を得られるのは、感謝されたときです
例えば、市役所の窓口業務に対して感謝をしている方はほとんど見ないですよね。
また、公務員は「税金でご飯を食べている」ことからもアンチが多いです。
さらに、仕事内容的にも嫌われがちなのは否めません。
- 税金の徴収
- 申請に対する許認可など
- 生活保護
例えば上記のとおり。
権力を持っている側ゆえに、不利益を受けた人からは憎まれます。
(困っている人を助けるはずの生活保護の仕事で、なぜか罵倒されるんです)
これまでを総合すると、以下のことが言えます。
- 公務員は仕事のやり方から、人の役に立つ実感を得にくい
- 税金から給料が出ている分、感謝もされにくい
「公務員は利益を追求せずに公益のために働ける=人の役に立てる」なんて短絡的ですよ。
技術職・警察や消防などは例外
ただ、これまでの話は主に事務系の行政職の話です。
公務員と言っても色々あり、技術職や警察・消防などは例外かなと思います。
- 技術職:企業に対する技術指導・道路や建物を作る
→自分の仕事の価値が見えやすく、役に立っている実感も得やすい - 警察・消防:治安や人の命を守る
→人から感謝もされやすい
上記のとおり(警察は嫌われるかもですが)。
僕は技術職の知り合いが多かったですが、行政職に比べると明らかにやりがいを持っていましたね。
【公務員志望者へ】民間企業も社会貢献している話
上記のように思う方もいるかもしれません。
しかし、民間企業もちゃんと社会貢献をして人の役に立ってますよ。
例えば「Amazon」です。
Amazonでポチッと買い物をすれば、次の日には荷物が届きます。
みなさんもAmazonで買い物をして、便利な生活を享受できていますよね?
利益を追求する=人の役に立てないは短絡的かつ大きな間違いです。
現に私たちは民間企業が提供するサービスを利用して、豊かな暮らしを手に入れています。
しかし、そういう企業は市場の中で必ず淘汰されます。
また、民間企業の活動は以下のようにも考えられますよね。
たくさんの物・サービスを売る→多くの利益を出す→多額のお金を納税する
企業の商品・サービスが人の役に立ち、行政側にも税金としてお金が回ります。
これを社会貢献と言わずして、何と言うのでしょうか?
志望動機も「人の役に立ちたいから公務員」ではNG
志望動機としてはあるあるですよね。
しかし、この志望動機では確実にツッコまれるでしょう。
上述のとおり、民間企業も社会貢献をしています。
むしろ、社会貢献できない企業はすでに潰れています。
また、企業が利益を出さなかったら税金が入ってこない=自治体運営ができなくなります。
このことは当然面接官も把握していますので、確実にツッコまれるはず。
実際の面接における志望動機からも、「人の役に立ちたいから公務員」はNGです。
そんな抽象的な話ではなく、もっと具体的に考えることをおすすめします。
【まとめ】人の役に立ちたいではなく、他の理由で公務員を目指すべし
本記事のとおり、「人の役に立ちたいから公務員」はやめるべきです(特に事務系の場合)。
現実では人の役に立つ実感を得にくいので、選択を後悔する可能性もあります。
なので、それ以外の価値観の部分で公務員に惹かれるかで考えると良いかと。
- 地元・好きな自治体を良くしたい
- 〇〇を通じて県を発展させたい
- 子育てしやすい上に、女性でも上を目指せる仕事が良い
- 安定していて、休みが取りやすい職業に就きたい
- 社会的な地位がある程度高い職業が良い
僕の経験から言えますが、大事なのは「自分の価値観と合うか」です。
このように思えて、かつ幸せを感じられるなら、それは素晴らしいと思いますよ。
「公務員でいることのメリット」って正直かなり大きいですからね。
(つまらない仕事に折り合いをつけている公務員の方は、実際に超多かったです)
なお、公務員のリアルな部分がもっと知りたい方には、「実は悲惨な公務員」という本が超おすすめ。
元文科省職員の方が書いている本で、公務員のリアルな仕事が赤裸々に書いてあります。
僕も読んでいて「あるある」と頷いてしまいました。笑
ちなみに、今ならKindle Unlimitedの対象になっています。
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スマホやタブレット端末で気軽に読めますよ。
ただ、対象本は急に変わるので、いつ無料で読めなくなるか分かりません。
0円で読める今のうちに、読んでおくことをおすすめします。
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