こんにちは!元公務員のHiroshiです。
公務員の給料は、人によって捉え方がかなり異なる部分です。
一方では「高い」と批判され、また一方では「安い」と下に見られます…
ただ、色々言われるがゆえに「フラットな評価が知りたい」と思う方も多いです。
(もちろん僕もそうでした)
今回は、元県庁職員の目線で「公務員の給料は本当に安いのか」を取り上げます。
本記事の内容
- 公務員の給料の決まり方・具体的な金額
- 公務員の給料は本当に安いのか
- 公務員は給料に関する本当のメリット
本記事は、公式データと僕自身の経験をもとに書いていきます。
公務員の給料のリアルが分かり、将来を考える上での参考になるはずです。
3分ほどで読めるので、ぜひ最後までお付き合いください。
【前提】安いは嘘?公務員の給料の決まり方・金額
まずは前提として、公務員の給料の決まり方や具体的な金額を見ていきます。
公務員の給料の決まり方
公務員の給料の決まり方は、非常にシンプルです。
従業員50人以上の民間企業の平均を基準に決定
従業員50人以上だと「零細企業を除いたそこそこの企業」のイメージ。
公務員の給料水準は、目安として「中の中の上」程度かと思われます。
ちなみに公務員の給料・ボーナスは、基本的に「人事院勧告」で決定されます。
50人以上の民間平均をもとに毎年改訂されるので、民間の動向が反映される仕組みです。
地方公務員の給料・年収【市役所・県庁】
公務員の給料は地域手当が大きく影響するので、自治体による差が大きいです。
(地域手当とは、物価調整のための手当です)
しかし、自治体が出しているモデル年収は1つの参考になるはず。
こちらは群馬県庁のモデル年収で、都道府県庁の中では平均的な水準です。
市役所もだいたい同じような年収と考えてください。
残業代や手当などを踏まえると、だいたい以下くらいが目安になるかと。
- 25歳:年収350万円
- 30歳:年収500万円弱
- 40歳:年収600万円強
田舎だとより少なく、都会だとより高くなるイメージですが、平均はこの程度ですね。
※俸給表(給料表)に基づいて、毎年昇給していきます
国家公務員の年収・給料
続いて国家公務員のモデル年収を見ていきます。
国家公務員は、総合職(キャリア)と一般職(ノンキャリ)に分かれます。
なお、こちらも残業代や住宅手当などは含まれていないと考えられます。
しかし、それを含めても地方公務員とさほど金額は変わりませんね。
- 25歳:年収350万円
- 30歳:年収500万円弱
- 40歳:年収600万円強
国家公務員も地域手当があるので、収入も勤務先に左右されます。
ただ、一般職だと上記が金額の目安になるのかなと。
※国家公務員・地方公務員の給料は公務員の年齢別年収・給料・ボーナスまとめ。行政職の年収を完全網羅で詳しく書いています。
公務員の給料は安いのか?元地方公務員がリアルを語る
前提として、公務員の給料の決まり方・金額の目安を見ました。
本題の「公務員の給料は安いのか」ですが、どこを基準にするかで変わると思います。
その意味で「給料が安い」と言われるのは、半分ホントで半分嘘かなと。
比較対象によっては高い
前述のとおり、公務員の給料は「従業員50人以上の民間」を基準に決められます。
50人以上となると、それなりの規模の企業ですよね。
- 零細企業/ブラック企業
- 非正規雇用の人
当然ですが、上記のような人に比べたら「給料は高い」です。
また引き合いに出される公務員は「正職員」ですし、男女の給料格差もありません。
一方で民間は雇用形態が様々ですし、事実として女性の給料は男性に比べて低め。
(日本の場合、結婚後に非正規雇用になる女性が多いので)
つまり「公務員の給料が高い」と言われるのには、以下の事情があります。
- 平均準拠だけど、中小・零細企業よりは給料水準が高い
- 平均年収の分母は「正職員」のみ
- 男女の給料格差が全くと言っていいほどない
特に公務員の人は、職員どうし・公務員どうしで結婚する人も多いです。
2馬力で稼げるので、世帯年収的にはかなり高くなります。
結果として「公務員は裕福」のイメージもつきやすいのかなと。
同じスペック・学歴で比較すると安い
公務員になる方は、正直高学歴の人がかなり多いです。
- 国家総合職:東大・京大・一橋・早慶レベル
- 国家一般職・地方上級:旧帝大・早慶・MARCH・地方国立
公務員試験は学歴が関係ありませんが、およその大学の目安は上記ですね。
そのレベルの学歴で考えると、公務員の給料は確実に安いです。
偏差値の高い大学の方は、民間の優良企業・大手企業に入る人が多いです。
当然ですが、大手は給料がかなり良かったりします。
一方、公務員の給料は「50人以上の平均」です。
必然的に、ある程度の学歴の中では「民間>>>公務員」になります
実際に僕も、民間に行った大学の同期の誰よりも給料が安かったです…
若手は特に薄給
また、特に若手の公務員は薄給です。
ちなみに僕は、県庁時代に手取りが20万円を超えたことがなかったです。
(もちろん残業代・手当込み)
民間に行った大学の同期は、当然もっと貰っていました…
【参考】高卒公務員の給料は高いです
客観的に、高卒公務員の給料はかなり恵まれている印象です。
一般的に、高卒と大卒では生涯年収に1億円の差が出ると言われます。
しかし公務員の場合、高卒と大卒で生涯年収はほぼ変わりません。
高卒でも大卒と同等レベルに稼げるんです。
高卒で民間に行った人よりも、公務員になった人の方が収入は高くなります。
もちろん人生に対する考え方・価値観は人それぞれ。
金銭面だけで高卒公務員を選ぶのが、必ずしも良いとは言えません。
ただ事実として、公務員なら高卒と大卒で遜色がない点は知って損はないかなと。
【補足】公務員の給料に関するよくある質問・意見
世間的によく言われる、公務員の給料に対する質問や意見は以下の2点。
- 若手公務員は給料が安すぎて生活が苦しい
- 給料の他に手当がたくさんあるのでは?
それぞれに対して、経験をもとに回答していきます。
①:若手公務員は生活が苦しいほど給料が安い?
公務員は若手の頃は薄給で、大学同期と比べると明らかに給料が安いです。
しかし僕自身は、生活が苦しいとかは一切なく、余裕で貯金もできていました。
確かに給料は高くはなかったものの、地方は家賃や生活コストが安く済みます。
極端な贅沢はできないと思いますが、普通に暮らすのには十分だった印象です。
大手企業に入って都内等に住むと、生活費もかさみます。
実質的な給料で考えると、公務員は数字ほどは悪くはないのかなと。
外食や飲み会ばかりだと、公務員の給料では地方でも生活はキツいと思います。
ただ普通に一人暮らしをする分には、生活が苦しい等はないはずです。
②:公務員は給料は低いけど、手当がたくさんあるのでは?
給料は低いかもだけど、手当が充実しているに違いない。
よく「公務員=手当がたくさんある」と思われがちです。
しかし正直、手当は至って普通ですよ。
- 時間外勤務手当(残業代)
- 住宅手当:28,000円が上限
- 地域手当:物価調整のための手当
- 扶養手当
確かに色々な手当はありますが、実際に支給されるのは上の4つ程度。
公務員特有なのは地域手当くらいですね。
基本的に、一般企業と何も変わらないと思います。
(むしろ公務員より手当がたくさんある企業も多いはず)
公務員の待遇自体は、平均か少し上くらい。
なのに「なぜ余裕があるのか」ですが、個人的な考えは以下の2点です。
- 公務員どうしで結婚しているパターン
→2馬力なので世帯収入はかなり高くなる - 公務員になる人は堅実な人が多い
→コツコツ貯蓄しており、実はあまりお金を使っていない
(公務員夫婦のパターンは上述しましたね)
そもそも公務員になる人は、かなり真面目な人が多いんですよね。
無駄遣いが少ないのに加え、年功序列で給料が上がった結果、余裕が出てくるのかなと。
「公務員の給料が安いこと」と「生活に余裕があること」は必ずしも矛盾しません。
【給料は安いけど…】公務員の魅力は「安定性」や「ゆとり」
公務員の給料は安いのかに関しては、以下が言えます。
- 世間一般的に見たら、中の上くらい
- ある程度の偏差値の大学の場合、同レベルの経歴の人に比べたら安い
給料の良さを重視する方にとっては、公務員は向きません。
公務員試験を突破する労力を考えると、正直コスパの悪さは否めないところ…
しかし、公務員のメリットは給料面の他にあります。
中でも個人的には「安定性」と「ゆとり」が大きいかなと。
①:安定性
公務員の給料は高くはありませんが、それなりの水準で安定はしています。
- 年功序列:毎年確実に昇給する
- 景気・社会状況にあまり左右されない
上記が言えます。
特に2つ目ですね。
公務員の給料は、景気や社会状況の影響をさほど受けません。
- 景気が良い時:給料は少しだけ増える
→あまり恩恵はない - 景気が悪い時:給料は少しだけ減る
→さほど影響は受けない
その証拠に、コロナ渦でも公務員の給料・ボーナスはあまり変わっていません。
(ボーナスが0.05ヶ月分下がっただけです)
一方、民間企業は違います。
業績が良いと給料やボーナスは増えやすいでしょう。
しかし、景気悪化・業績不振だといろいろな悪影響が出るはず。
実際、給料カット・ボーナス減などの話も聞きますよね。
この安定性は、良くも悪くもの部分はあると思います。
しかし、人はプラスよりマイナスになることを怖れる生き物です。
「どんな時でも一定の待遇の保証されること」を重視する方には、公務員はかなり魅力的かなと思います。
②:ゆとりがある
公務員の仕事は、決して楽ではありません。
異動も多く、数年おきに「転職」するようなものです。
残業も少なくないですし、バッシングも受けます。
しかし、客観的に考えて「ゆとり」はあるのかなと思います。
その理由としては、以下です。
- 成果主義ではない:結果を出さなくても給料が上がっていく
→プレッシャーが少ない - 休暇が充実:有給・夏季休暇・年末年始休暇など
→休みやすい雰囲気もある
つまり、給料は多くないけれど、福利厚生を含めた他の部分が恵まれているんです。
単純にお金だけを見ると、公務員は物足りないかもしれません(特に高学歴の方)。
しかし、お金に換算できない部分まで考えると、待遇は決して悪くない印象。
YouTubeのコメントでよく聞く意見ですが、安定性・ゆとりは「年収数百万円分に相当する」と感じる人も結構多いみたいです。
実際、金融系などの高収入な業界から公務員に転職する人はかなりいます。
いくらお金があっても、生活を楽しむ余裕がないとしんどくなりますからね…
公務員の給料は安いのかに関するまとめ
公務員の給料は安いのかについて書きました。
公務員の給料は、世間一般で見たら中の上くらいです。
しかし、大卒で公務員になる方の学歴・スペックを考えたら、正直安いでしょう。
とはいえ、単純な給料だけで公務員の待遇は語れません。
- 良くも悪くも景気に左右されない安定性
- 精神的なゆとり
- 社会的な信頼性
これらのメリットも含めて、トータルで考えるべきかと。
結局、大事なのは「マッチング」ですね。
お金を考えたら、公務員は微妙です。
しかし、様々な面を複合的に考えたら、公務員もアリになります。
あなたが「何を重視するか」が最も大事だと言えます。
本記事が、将来を決める上で少しでも参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
公務員になりたいと思った方へ
ここまで読んで「公務員になりたい」と思った方は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。
公務員試験の勉強に関して
公務員試験を受験するにあたっては、独学と予備校の2つがあります。
以下の記事を参考に、ご自身に合った方を選んでください。
独学での勉強法
予備校比較
公務員に転職したい社会人の方へ
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