こんにちは!元公務員のHiroshiです。
公務員の「コスト意識」は、よく批判にさらされる対象であり、かつ面接でも問われることが多いです。
しかし、公務員のコスト意識が低いのは、決して個々の公務員に問題があるのではありません。
仕事の仕組みを考えると、正直仕方ないことだと言えます。
今回は、元県庁職員の僕の経験をふまえて、「公務員のコスト意識」について取り上げます。
3分ほどで読めるので、ぜひ最後までお付き合いください。
【前提】公務員のコスト意識とは【面接でも聞かれる】
その名の通りですが、簡単に言えば「費用対効果」ですね。
限られた予算の中で、最大限の効果が出せるよう意識・努力すること
上記のようにも言い換えられます。
将来的に、人口減少に伴う税収減が起こることが確実となっている昨今。
コスト意識を強く持って、費用対効果の高い事業・政策を行うことが求められているわけです。
公務員はコスト意識が低い?仕組み上当然である理由
公務員にもコスト意識が求められることは、もちろん公務員はみんな分かっています。
しかし、よく「公務員はコスト意識に乏しい」等と言われます。
確かにその通りな部分もあり、正直コスト感覚を持っている人は少ないと感じます。
ただ、それは個人が悪いのではなく、役所の仕組みを考えると仕方のないことです。
コスト意識を具現化すると…
コスト意識とは、「限られた予算の中で、最大限の効果が出せるよう意識・努力すること」と前述しました。
ただ、若干抽象的なので、コスト意識を具現化すると…
- 経費を節約し、当初の予算よりも少ない金額で事業を実行する
- 効果のない事業はなくす
上記のような施策が考えられます。
経費を節約して、従来と同じ効果が得られるのであれば、費用対効果は上がります。
また、効果の乏しい事業を潰す=費用対効果の悪い仕事・ムダな仕事を減らせますよね。
コストを抑えても、評価されない仕組みである
コスト意識を強く持って、節約をしたり無駄な事業をなくすことは、かなり有益です。
しかし残念ながら、役所の仕組みでは、コスト意識を持っても評価されません。
事業のコストを抑えると…
上でもあげた、「経費を節約して事業コストを抑えた例」で考えます。
この場合、コスト意識的には素晴らしい成果ですが、実際にはどうなるかと言うと…
次年度以降の予算が削られるだけ
役所の中は、やはり予算の大きな事業を行っている部署・組織が強いです。
事業予算が下がると、部署の力が相対的に低下します。
出世したい上の人・事業に関係する団体はやはり良い顔をしないので、評価にはつながらないわけです。
関係団体にもアピールしやすいので、やはり事業予算は削りたくないと思うのが普通です。
また、予算よりも少ない金額しか使わなかったら、財政課(役所の予算を配分する部署)から詰められることも考えられます。
「なぜ多めに要求したのか」と聞かれる可能性も十分あります
努力の末にコストを抑えたのに、財政課からも上からも評価されない…
コスト意識を持ち、それを実行に移すことなんて無理ですよね。
無駄な事業をなくすと…
2つ目の「無駄な事業をなくす」例でも同じです。
基本的に、上の人は事業を潰すことを嫌がります。
- 「やっていること」の実績作り・アピール
→内部(出世面)でも外部(団体や企業)でも - 議会で突っ込まれた際の弁明のため
理由としては、大きく上記の2つですね。
(スクラップ&ビルドが行われる場合ももちろんありますが)
また、事業を潰すのは本当に骨の折れる作業です。
上を納得させるのはもちろん、関連する団体にも説明をしないといけません。
しかし、苦労して事業を潰しても、さほど評価にはつながりません。
その分の予算も減り、上の人にとっては対外的なアピールの材料もなくなるわけですからね
※もちろん潰した事業を他の事業と統合などができれば、評価は上がる可能性もありますが
つまり、コスト意識を強く持って頑張っても、役所の仕組み上メリットがないんですよね。
「財政健全化に貢献した」とはならず、むしろ評価は下がります。
「頑張らない方が得」「ムダな事業でも理屈をつけて予算を取る」方向になるのは、ある意味で当然なんです。
【まとめ】公務員のコスト意識の乏しさよりも、前提となる仕組みを見るべき
「公務員のコスト意識」について書きました。
主に取り上げた事業に関すること以外にも、コスト意識のアプローチはあると思います。
- コピー等の消耗品・必要経費
→税金が無駄にならないよう、節約に努める - 人件費:給料や残業代などを考える
→効率的な業務・時間外勤務を抑えるなど
これらも確かに重要なので、面接ではこちらを答えた方が良いかと。
でも正直コピーの節約よりも、事業を潰した方が明らかに効果大きいと思うんですよね。
しかし、役所の仕組みではコスト意識を持って努力しても、メリットはないのが現状です。
(個人的にはムダな事業をどんどん潰して、効果のある事業に積極的にお金を投入すべきと思いますが…)
こんな批判も多いですが、あまり建設的ではありません。
ただ非難するのではなく、まずは前提となる仕組みを見るべきです。
努力してコストを削ろうとするほど、損をする可能性が高くなります。
その中で「コスト意識を持て」と言う方が無理です。
仕組みを理解した上で議論した方が、よほど建設的だと思いますよ。
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元県庁職員の僕も、読んでいて「あるある」と何度も頷きました。
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