こんにちは!元公務員のHiroshiです。
最初に言っておきます。この記事を見つけたあなたはラッキーです。
なぜなら、公務員の仕事内容のリアルな部分・本質的な部分がわかるから。
「公務員 仕事内容」等のキーワードでググると、以下のような内容が出てきます。
- 国家公務員は政策の企画・立案など、国のグランドデザインを描くやりがいのある仕事ができる
- 地方公務員は地域に密着した存在として、住民を助けたり、まちづくりを行なったりする
- 公務員といっても色々あり、行政・消防・警察・福祉などと多岐にわたる
でも僕は思うんですよね。
「『公務員 仕事内容』でググっている人も多くは、こんな抽象的なことが知りたいんじゃなく、もっと具体的な仕事のリアルな部分・本質的な部分が知りたいはず」だと。
僕も学生時代はそうでしたし、そんな抽象的な「仕事内容」なんて調べるまでもないじゃないですか。採用パンフ読めばいいだけですし。
そこで本記事では、冒頭でも記したように、公務員の仕事内容のより具体的かつリアルな部分、本質的な部分について、元公務員の僕が赤裸々に書いていきます。
おそらく「公務員 仕事内容」というワードでググってもこの記事は上位表示はされないでしょうから、この記事にたどり着いた方とは何かご縁がありそうです。
そんな方に「この記事が読めてよかった」と思っていただけるような内容にしていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
【本質】公務員の仕事内容は、大半が「仕事のための仕事」と「説明」
ひとことで「公務員」といっても、色々な職種・部署がありますし、個人によって仕事内容は様々。
しかし、本質はめちゃくちゃシンプルで、行政職(事務職)の公務員の仕事内容は「仕事のための仕事」と「上に承認を得るための説明」が大半です。
- 起案・決裁システム:上の人に説明し、ハンコをもらって承認を得ていく
→承認を得るための説明 - 議会対応:事前に来た質問に対する答弁書を作成し、上の人(答弁者)にレクチャー
→仕事のための仕事&説明 - 予算要求・編成:事業の予算書・関連資料を作成し、上司や財政課に説明をして予算を取る
→承認を得るための説明
公務員の仕事のやり方・内容の代表的な例を挙げました。
県庁や市役所、国などの公務員に限らず、巨大組織ならば大差ないのかもしれませんが、公務員の仕事は上に書いたものが現実。
自治体の募集パンフやググってたどり着いたサイトには「公務員はグランドデザインを描く〜」等のカッコいい文言が並んでいますが、実際は議員への根回しや上司への説明などが非常に多いです。
もちろん、住民対応やイベントの開催など、これらに当てはまらない仕事もあります。
この類の仕事は、自分の仕事に対する反応が直接聞けたり、関わった人の笑顔が見られるのでやりがいも大きいです。
ただ、そういった仕事はごく一部。
どんな部署でも内部の手続き(説明をして上司の承認を得る作業)は多いですし、議会対応や予算もあります。
また公務員は異動も多いので、住民対応メインの部署にいる場合でも、いずれは高い可能性で生産性のない議会対応や予算要求・編成をやることになりますよ。。
技術職の公務員の場合は、本記事の内容とは異なるところがあります。
というのも、技術職は出先機関に主に勤めて、専門的な知識を使った監督指導・改善指導などを行うから。
内部の手続き的な仕事を行う場合ももちろんありますが、技術職の公務員は自分の提供した「価値」が見えやすい仕事が多いので、やりがいを感じている方もたくさんいますよ。
公務員の具体的な仕事内容のまとめ
公務員の仕事は大半が「仕事のための仕事」と「承認を得るための説明」と書きましたが、具体的にはどのように仕事を進めていくのでしょうか?
公務員の一般的な仕事の中身から、「こんなことも仕事なの?」というものまで、元公務員が解説していきますね。
なお、あらゆる部署に共通する仕事のやり方・内容を書いていくので、これから公務員になろうと思う方にはかなり参考になるかと思われます。
公務員の具体的な仕事内容①起案・決裁
公務員のあらゆる仕事は基本的に、「起案→決裁」という流れで行います。
- 他の自治体や団体に対して文書を通知する
- 予算の執行をする
- 申請に対して承認をする
このような仕事において、担当者が起案文書とその参考資料を作成し、課内で回付して一人一人ハンコをもらっていく仕組みです。
最終的に決裁権者である課長などがハンコを押したら決裁完了。やっと仕事を進めることができます。
この「起案→決裁」はどんな仕事でも行うのが基本。
会議への出欠連絡や組織内のやり取りといった、「これ担当者の裁量でいいんじゃないの?」ということまで所属長に決裁を取ります。
- 担当者のみが出席する会議の出欠確認
→「〇〇出席と回答してよろしいか」という文言で決裁をとる - 自治体の公式ツイッターのツイート
→「広報課あてツイートを依頼してよろしいか」と決裁をとる - イベント開催の際、他の課に景品(ボールペン等)の提供をお願いする
→提供依頼に関する決裁が取れたら、課長印を押した正式な依頼文を作成し、その課に送付する
一例ではこんな感じ。
②と③については、依頼した課と承認する課の両方が決裁をとります。
どういうことかというと…
- 〇〇課あて××を依頼してよろしいか→決裁が取れたら依頼文書送付
- 〇〇課から依頼された××について、承認してよろしいか→決裁がとれたら承認してツイートや景品提供(+承認文書の送付)
めちゃくちゃ無駄じゃないですか?
組織内部のちょっとしたやり取りだったら、
こんな感じで十分だと思うんですよ。
数分で終わるやり取りですね。
でも現実は、たった1つツイートをするだけなのに2つの課で決裁をとる必要があるので、平気で数日はかかります。
こんな感じで、公務員は内部の手続きが面倒くさすぎて、いちいち文書をつくったり、決裁をとったりという「仕事のための仕事」が頻発します。
決裁の過程では上に承認を得るための説明も必須なので、時間もかかってスピード感も失われるんですよね。。
以下の記事にて、公務員の「起案→決裁」の仕事について詳しくまとめているので、あわせてご覧ください。
公務員の具体的な仕事内容②議会・議員対応
議会対応は公務員の大きな仕事の1つ。
地方公務員だと年に4回ほど、国家公務員だと1月から半年間は議会があります。
そんな議会ですが、全て茶番です。
- 質問する内容(予定)について、議会事務局から担当課へ回ってくる
- 担当課と議員の間での勉強会(質問内容や答弁者を誰にするかについてのすり合わせ等を行う)
- 正式な質問内容が担当課へ回ってくる
- 課の担当職員と上司が答弁書と参考資料を作成
- 答弁者(知事や部長)に答弁の内容をレクチャー。OKが出たら答弁書の中身を質問する議員へ
- 議会本番(答弁者も質問者も事前に内容が分かった状態)
こんな感じで、事前にシナリオをつくり、その通りに質問・答弁をするのが議会なのです。
議会において、公務員(一般職員)はまず答弁の草稿と参考資料をつくります。
それを答弁者にレクチャーし、言い回しや「てにをは」等について深夜まで延々と議論するんです。
以下の記事にて、議会・議員対応の仕事をさらに詳しく解説しているので、興味のある方はこちらもどうぞ!
公務員の具体的な仕事内容③予算編成(予算要求)
県や市町村は「〜事業」や「〜イベント」を実施していますが、それは決められた「予算」の中で行なっています。
その予算をとる仕事「予算編成(予算編成)」も、公務員の重要かつ大変な仕事の一つです。
- 課内・部局内で来年度の事業などに関する調整・ミーティング
→何の事業でいくらくらい予算要求するか決める - 財政課に予算要求書を提出
- 財政課担当職員によるチェック、および事業担当者へのヒアリング
- 財政課担当職員が財政課長などの上司に説明
- 財政課長が首長(知事や市長)に説明
- 知事が承認すれば、年度末の議会へ
こんなプロセスで進んでいくのですが、担当の職員(一般の公務員)は、
- 予算書・資料を作成し、部課長以下の上司に、1つ1つ説明をする
→承認が得られないと作り直し - 財政課に対して予算の内容を説明する
→納得してもらえない限り何度でも。最後までダメだと予算カット
という感じで仕事を進めていきます。
とにかく「説明」ですね。
また、がんばって予算を通して実現させた事業でも、次の年には異動になって担当から外れる可能性もあります。。。
以下の記事にて、公務員の予算要求・予算編成をくわしくまとめているので、ぜひご覧ください。
公務員の具体的な仕事内容④知事や市長のあいさつ文の作成
自治体主催の式典やイベントでは、県や市のお偉いさんが来てあいさつをしますが、そのあいさつ文の原稿・参考資料をつくるのも公務員の仕事です。
これが結構な負担で、自分の所属する課長・部長のみならず、「秘書課」の承認をもらう必要があります。
承認する人が多いとその分説明する人も増えて、決裁までに時間もかかりますし、せっかくあいさつ文を用意しても、知事等はその通りには読みません。
僕は県庁職員時代に何度もあいさつ文を書きましたが、「この不毛な仕事は何だ…」といつも感じていました。
あいさつ文の仕事については以下の記事で詳しく書いているので、あわせてご覧ください。
まとめ。公務員の仕事内容はやりがいが持てない可能性が十分に高い
公務員のリアルな仕事内容について、より具体的に説明しました。
本記事で挙げた4つはあらゆる自治体・部署の行政職(事務職)の公務員に共通する仕事の中身なので、これから公務員になる方は知っておいて損はありません。
上に書いた通り、公務員の仕事は組織内部における「仕事のための仕事」と「上に承認を得るための説明」が非常に多いです。
つまり、直接的に自分の仕事がどう役立ったのか、どんな価値を提供したのかが分かりづらいので、やりがいが持てない可能性も十分にあるということ。
僕はこれがダメでした。2年目は組織内の手続きや説明の仕事が大半で、全くやりがいが持てませんでしたね。
もちろん価値観は人それぞれです。
このような方にとっては、公務員の仕事内容はさほど大きな問題にはならないでしょう。
ただ、公務員の具体的な仕事の中身を知ることは、公務員になるorならないを決める上で重要だと思い、本記事を書きました。
「自分はやりがいなんていらない」と思っていた場合でも、「実はやりがいがない仕事はできないタイプだった」というパターンも考えられますし(ぼくはそうでした)。
本記事が、これから公務員になろうかなという方、公務員になる予定の方にとって少しでも参考になれば幸いです。
今回は以上になります。ありがとうございました。
以下のnoteでは、僕の2年間の公務員経験から「受験前・入庁前に知っておきたい、公務員のリアルと未来」を書いています。
公務員になる方・公務員を考えている方が絶対に知らないと後悔することを詰め込んでいるので、気になる方はぜひどうぞ。