こんにちは!元公務員のHiroshiです。
「公務員」は安定職の代名詞として、いつの時代も人気の職業です。
しかし、近年の社会情勢の変化等によって「オワコン」と言われることもしばしば。
そこで本記事では「公務員はオワコンなのか」を取り上げます。
本記事の内容
- 公務員がオワコンと言われている理由
- 公務員は本当にオワコンか?今後を考えてみた
- これから公務員になろうとする人が行うべき&考えるべきこと
この記事を書いている僕は、県庁に勤めていた経験を持つ元公務員。
今はIT系の仕事をしており、本記事は僕自身の経験をもとに書いていきます。
3分ほどで読めるので、ぜひ1つの意見として参考になれば幸いです。
公務員がオワコンと言われている理由【国家公務員・県庁・市役所】

ビジネス系のインフルエンサー曰く、以下の理由から「公務員はオワコン」とのこと。
- 人口減少&税収の減少
- AI導入による業務効率化
- 業務の中でスキルが身につかない
つまり「仕事がなくなる&給料が減って安定性が失われる」からオワコンである、と理解できます。
①:人口減少による税収の減少
日本の人口は減り続けているのと同時に、高齢化も進んでいます。
となると、単純に公務員の人件費である税収が減ります。
いま以上に限られた税収の中で、人件費を捻出することになるはず。
公務員の給料が減らすor今よりも公務員を減らす必要が出てくると予想できます。
今まで公務員は、民間企業よりも高い基準で安定していました。
しかし税収が減ってしまう以上、安定性が揺らぐのは容易に想像できますよね。
また、高齢化が進む=社会保障負担などの支出が増えることと同義。
財政が厳しくなる自治体も今以上に増えるでしょう。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると…
- 2040年には総人口が約1億1000万人、65歳以上がそのうち35.3%
- 2060年には総人口が9,284万人、65歳以上がそのうち38.1%
となっています。
公的機関の推計値が大きく外れることはまずないので、ほぼ間違いなく人口減少・少子高齢化は進んでいきます。
②:AI等による業務の効率化
近い将来、AIが公務員の仕事の現場に導入されたら、今の業務が圧倒的に効率化されます。
職員が行っている仕事をAIが代替できるので、職員が今ほど必要でなくなるわけです。
AIで代替できそうな業務は、例えば以下です。
- 窓口業務
- 書類のチェック
- 申請の確認
- データ入力
これ以外の業務に関してもAIが活躍する機会は多いでしょう。
近い将来、公務員の仕事の現場にAIが導入されれば、業務の効率化・住民の利便性の向上が図られるはず。
しかしその一方で、今の仕事がなくなるので、職員もいらなくなるのは確実でしょう。
③:スキルが身につかない
公務員は3年程度のスパンで異動があります。
必然的に、業務の中で専門的な知識・スキルは身につきません。
また、基本的に副業も禁止です。
専門的なスキルを身につけるモチベーションも湧いてこないでしょう
つまり、公務員は「公務員の身分」を失ったら、自分の力で食っていくのが難しいのです。
若いうちは別ですが、年数が経つにつれて転職もできなくなります。
しかし前述のように、将来的に公務員の身分の安定は揺らぐ可能性が高いです。
- 公務員の身分による従来の「安定」はなくなっていく
- にもかかわらず、どこでも食べていけるスキルを持つという「安定」を得ることが禁止されている
上記の通り、公務員は時代に合わせた動きがとれません。
これからの時代の「安定」は、従来と定義が変わってきています。
- 普遍的なスキルを身につけ、自分でお金を稼げるようになること
- 複数の収入源を持ち、リスクヘッジをすること
公務員でいる以上、新しい「安定」を手にできません。
安定の代名詞であった公務員の身分のせいで、違う種類の安定を手にできないパラドックス。
時代に即した生き方ができないので、オワコンと言われると考えられます…
公務員は本当にオワコンなのか?

ここまで公務員がオワコンと言われる理由を書きました。
上記をふまえて「本当に公務員はオワコンか」ですが、正直公務員に限った話ではないかなと思います。
こんな人もいるかもですが、今は「大企業だから安泰」とも言い切れない時代です。
普通にリストラもあるし、給料やボーナスカットも予想できます。
(実際にコロナで影響を受けた会社も多かったですよね)
「AIで仕事がなくなる」とかも、公務員に限った話ではありません。
結局、民間であれ公務員であれ、有能な人は生き残るし、そうでない人は淘汰されるのかなと。
おそらく公務員の方が相対的にマシです
「公務員はオワコン」と言われますが、客観的に考えて公務員は相対的に恵まれています。
- AIの導入は多分遅い
→各業界・先進的な自治体で成功事例が出てから - 身分による安定はなんだかんだ続く
理由は上記です。
「AIに仕事を取られる!」とよく言われますが、正直そんなすぐに導入されるとは思えません。
AIの導入には当然「お金」がかかります
そもそも財政に余裕はありませんし、役所の仕組み上、新しいものの導入には本当に慎重です
現実に「仕事を取られる」のは、おそらくだいぶ先のはず。
また、公務員は税金から給料が出るので、なんだかんだ安定はしていますよ。
一気に給料カット・ボーナスカット・リストラ等もありません。
日本の未来を考えると、確かに公務員はジリ貧ですし、時代に合っていないと思います。
しかし、それでも大半の民間企業よりは持ち堪えるでしょうし、恵まれているでしょう。。
「公務員=オワコン」と言っている人が誰かを考えるべき
「公務員はオワコン」と言っている人が誰かをよく考えてください。
その大半はビジネス系のインフルエンサーですよね。
彼らの多くは自分で商品を持っています
若者には、公務員よりも自分で稼ぐ方向を目指してもらった方が、自分達が儲かるわけです
もちろん、公務員の将来は決して明るくはないです。
「公務員はオワコン」の主張も理解できますし、本心で思っているのでしょう。
しかし、日本全体が下向きである以上、別にオワコンは公務員に限った話ではないですからね。
大手企業に行ってもオワコンになる可能性はあるわけです。
おそらく「安定=公務員」なので、あえて取り上げているのかなと。
結局のところ、オワコンかどうかはその人次第。
情報は「誰が言っているか」をよく考えてみると、本質的な部分が見えてきますよ。
オワコンと言われる公務員はこれからどうなる?

オワコンと言われる公務員は、これからどうなっていくのか。
上でも少し触れましたが、元公務員の僕が感じることを書いていきます。
①:終身雇用の崩壊?
「公務員だから大丈夫」と言っていられる状態は、永遠には続かないでしょう。
実際に、奈良県生駒市の小紫市長が「公務員の終身雇用は10〜15年で崩壊する」と言っています。
ただ、いきなり公務員がリストラされる可能性は非常に低いと思われます。
理由は以下のとおり。
- 公務員は法律で守られている存在である
→公務員をリストラする=法律を改正することと同義 - しかし、そうなると公務員から大反対が起きることが予想される
→法律の案文をつくるのは公務員
議員としても役人に嫌われるのは避けたいはずなので、上記が予想できます。
公務員も自分たちを守るために必死で抵抗するでしょう。
必然的に、公務員を自由にリストラできるようになる可能性はかなり低いかと。
②:採用数の削減
時代の流れを考えると、公務員の数自体は減らさないといけません。
「採用数を減らしていく」のが、現実的かつ最も確率が高いでしょう。
必然的に、公務員試験での競争が将来的に激化するはずです。
(その頃には公務員が不人気になっている可能性もありますが)
ただ、個人的には採用数の削減はデメリットも大きいかなは感じます。
- 一人の人間が40年以上も居続ける組織は流動性がなく、正常ではない
- 採用数を減らしたら、必然的に年寄りばかりになる
とはいえ、セオリー的には採用数を減らして全体の数を抑制する流れかと。
③:給料が上がらない・差がつく
今は年齢とともに勝手に給料が上がりますが、将来的には今ほどの昇給はなくなるかなと。
- 将来的にAIが導入されても、多分リストラはない
- 人件費である税収が下がる
- 人口減少で経済が停滞→民間の平均給料が下がる
上記の点をふまえると、当然と言えば当然です。
ただ、その一方で給料に大きく差がつき始めると僕は踏んでいます。
AI化・リストラはされないの2つを前提にすると、今後の公務員は以下の2種類に分類されるでしょう。
- 新しい事業を考え、AIに指示を出すorAIを使う公務員
→仕事を作れる人 - 指示待ちの公務員(仕事があまりない)
→仕事を作れない人
AIができるのは「推計」や「単純作業」であり、その指示を出すのは人間=公務員です。
前者のような公務員は、提供する仕事の価値が高いです。
年齢を問わず給料も多くもらえるようになるでしょうし、もらうべきですよね。
一方、後者の指示待ち系の公務員の仕事は、どんどんAIによって代替されるはず。
「正直いらないけどリストラはできないから」との理由で残しておくだけなので、給料も上がらないor下がるでしょうね。
全体の人件費が減る&リストラなしの前提で考えると、給与体験の見直しが考えられます。
- 多くの職員の給料は上げない
- AIを使えるような一部の優秀な職員の給料は上げる
年功序列の弊害を抑えられるので、個人的にはかなり良いことだと思います。
これから公務員になる人がやるべきこと・考えるべきこと

「公務員はオワコンなのか」について書いてきました。
上記をふまえて、これから公務員になろうと思っている方が行うべきことに触れます。
都市部の自治体(東京都・特別区など)を狙う
将来的に公務員は安定しなくなり、二極化が進むという類の話を前述しました。
とはいえ、これから公務員試験を受ける人は「なるべく長く公務員の従来の安定性を享受したい」と思うはず。
そのためには、東京都・特別区・政令市といった都市部の自治体を狙いましょう。
- 都会の自治体は人口と税収が安定して多いため、財政状況がきわめて良好
- 人口が減っていくスピードがゆるやかであると見込まれるため、他の自治体よりも財政が安定した状態が長く続く
以上の2つの理由からです。
都会の自治体は単純にカネとヒトが多いため、他の自治体よりも安定した地位が保たれる期間が長いんです。
※給料に関してはその地域の民間平均の影響ですが
逆に人口がどんどん減っている田舎の自治体は、残念ながらオワコン化が早く進むでしょう。
公務員の安定性が揺らいでいく最大の要因は、財政状況が悪いことです。
財政状況が良い=金がある・人口が多い自治体は、他よりも持ちこたえることができます。
従来のメリットをなるべく長く享受したいと考える方は、都会の自治体を狙うようにしましょう。
自発的に仕事ができる人材になること
これから公務員になる方は、自発的に行動ができる人材になる必要があります。
価値のある仕事を生む人は、公務員でも確実に評価されるはず。
前述のように、こんなスタンスの公務員は淘汰されるでしょう。
リストラはされないまでも、給料はなかなか上がらないでしょうね。
一方、革新的な政策を立案したり、AIを使う側になれば、オワコンにはなりません。
仮に公務員の終身雇用が崩壊しても重宝されますし、給料的にも上がっていくでしょう。
これから公務員になる方は、ぜひ高い志を持ってほしいなと思います。
稼げるスキルを身につけること
これから公務員になる方は、お金になるスキルを身につけるべく勉強するのがおすすめ。
なぜなら、スキルがあることでリスクヘッジになる上、可能性が大きく広がるから。
- 万が一リストラなどが起こった場合、違う道に移りやすい
- 公務員も副業解禁の動きが加速
→副収入を得られるので、安定性が高まる - 公務員が嫌になったときでも、転職や独立などができる
公務員になることのデメリットも、スキルがあれば補えるはずです。
また、他の公務員の人が持っていないスキルがあれば、それが差別化になります。
スキルの例
- マーケティング:イベント集客やSNS運用につなげられる
- プログラミング:自治体運営などに関するアプリを開発
- 動画制作:自治体をPRするYouTube事業
従来は委託業者に丸投げする事業かもですが、自前でやった方がお金が圧倒的にかかりません。
また職員主体の方が面白いですし、単純に効果もありそうです。
スキルがあれば、低コストで尖った施策が行えるはず。
いずれにせよ、提案→事業化して成功させたら、あなたの価値は確実に上がると思いますよ。
公務員以外の可能性を広げる・公務員としての価値を上げるの両面で、勉強してスキルアップすることは重要です。
※詳しくは【価値を上げる】公務員が行うべきスキルアップとはで書いています。

公務員はオワコンかに関するまとめ

「公務員はオワコンか」について書きました。
確かに将来的に明るくはありませんが、それはどの世界でも同じ。
公務員は安定のイメージが強い故に、ピックアップされるのかなと感じます。
ただ、今後は公務員も生き残るために、価値を生む仕事をする努力が必須。
しかし「この自治体を良くしたい」と本気で思えるなら、オワコン化を心配しなくて大丈夫だと思います。
公務員になろうと考えている方は、ぜひ大きな志を持ってもらいたいなと思います。
(もちろんなってからも勉強は必要ですよ←どの世界でも同じですが)
今回は以上にします。
本記事が少しでも参考になれば幸いです。
公務員になりたい方へ
ここまで読んで「公務員になりたい」と思った方もいるはず。
ぜひ以下の記事を参考に、公務員になるための準備をしましょう。
勉強を始める前に行うべきこと
「最初に必ず行うべきこと」を詳しく解説しています。
(紹介している無料ガイドブックは社会人向けですが、学生にもかなり参考になるはず)

公務員試験の予備校比較
大手の予備校について、元県庁職員の視点からまとめています。

公務員試験の独学対策
独学で県庁に首席入庁した僕の勉強法などを以下の記事でまとめています。
