こんにちは!元公務員のHiroshiです。
終身雇用・年功序列の安定職の象徴ともいえる「公務員」。
いつの時代も安定を求める人は多いので、新卒の大学生の就職先や社会人の転職先として人気です。
でも、「AI(人工知能)によって公務員はいらなくなる」「公務員の仕事はAIに取られる」という声がたくさん聞こえてきますよね。
そのため、「公務員もいずれリストラされるのでは?」と心配になっている方もいると思います。
今回は、「AI導入によって公務員はリストラされるのか」をテーマに取り上げます。
本記事の内容
- AIが導入されても、公務員はリストラされない【その理由とは】
- 公務員の仕事にAIが導入されたら起こりそうなこと
元県庁職員の僕が、自身の経験をふまえて書いていきます。
公務員試験を考えている人など、「公務員とAI」について気になる方は、ぜひ参考にしてください。
AIが導入されても、公務員はリストラされないと思う理由

見出しにも書いた通り、結論として「AIが導入されても、公務員はリストラされない」と僕は感じています。
その理由は以下の2つ。
- 導入はなかなか進まないから
- 法律を作るのが公務員だから
理由①AI導入はなかなか進まない
少しズレるかもですが、非常に可能性が高いので触れておきます。
そもそもなんですが、公務員のAI導入はなかなか進まないでしょう。
それは、役所の予算編成の関係から明らかですね。
- 自分達(職員)の労働時間削減よりも、住民に直接的に利益のある事業の方を優先しがち
- 他の自治体で効果が上がっているなど、成果が確実に見込めないと、予算化が難しい
→AIに関しても、前例がない(or少ない)以上はなかなか導入が進まない
特に2つ目の理由が大きいですね。
役所の予算は住民の方々からの「血税」ですから、効果が十分にあるものでないと、財政課は予算化しません。
その判断基準としては、「他の自治体での前例」が結構大きな割合を締めるのですが、AI等の新しい技術は当然前例がない分、どこの自治体も導入に対して慎重になるはず。
となると、あらゆる業界でAIの導入がされて、その効果が十分に検証されてから、先進的な自治体でAIが導入され、それを見た保守的な自治体でも導入が進み…という流れになるのが自然ですね。
つまり、AIが本格的に公務員の仕事に導入されるのは、最も遅いタイミングになるのは必然。
AIの導入はなかなか進まない=リストラの心配も早くからする必要はないということです。
理由②法律をつくるのは公務員だから
公務員がクビにならない(リストラされない)のはご存知の通りだと思いますが、それは法律に規定されているから。
法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない
ー国家公務員法第75条
法を犯したりしない限り、公務員はクビにはなりません。
つまり、公務員をリストラできるようにするためには、法律や条例などを改正する必要がでてくるわけです。
そして、その法律や条例を作っているのは「公務員」ですよね。
公務員が自分で自分の首を締めるようなことをすると思いますか?
まずあり得ないでしょう。
ただ、遅かれ早かれ公務員の仕事にAI化は訪れる

ただ、AIによって公務員はリストラされないまでも、遅かれ早かれAIの導入が進むのは間違いありません。
それによって「公務員の仕事がAIに取られる」と危惧している人も多いはず。
でも、AI化ってメリットしかないんですよね。
AIによって公務員の仕事は圧倒的に効率化する
公務員は仕事がなかなか大変なのですが、ぶっちゃけほとんどがAIで代替できます。
AIは「単純作業」と「過去のデータからの推計」が得意ですからね。
例えば、住民対応・問い合わせの対応はもちろんのこと、申請に対する審査や許可の判断、議事録の作成など。
財政課の予算編成なども、一見するとAIが判断できなさそうな感じがしますが、前例(過去のデータ)や他県の状況などを元に判断していくわけですから、かなりの部分でAIが活用できるでしょう。
つまり、AIを導入することによって公務員の仕事は圧倒的に効率化します。
これによって、職員はより重要度の高い仕事に力を注げるようになりますし、住民にとってもメリットしかありません。
「AIに仕事を取られる」とネガティブになるのではなく、「AIによる効率化によってもたらされた時間で何ができるか」と考えた方が生産的ですね。
AI化が進んだ先に、公務員に起こりそうなこと【リストラ以外】

前述のように、いずれは公務員にもAI化は訪れるのは間違いありませんが、リストラが進む可能性は非常に低いでしょう。
でも、AIによる業務効率化がもたらされるということは、公務員にも大きな変化が起こるのは間違いありません。
①2極化
まず公務員に起こるのが予想されるのが、「2極化」です。
つまり、「AIを使いこなす側に立つ公務員」と「AIによって淘汰される公務員」の2つに分かれるということ。
AIが得意なのは「単純作業」や「過去のデータからの推論」です。
つまり、AIといっても、そもそもどんな事業・施策をやるのかというコアな部分はできないわけです。
そこで必要になるのが、どんな仕事をするのかを考え、AIに指示を出せるような公務員ですよね。
要は、高い発想力を持って、AIを使いこなせるような公務員は価値が上がっていきます。
一方で、それができない公務員はAIによって淘汰されていくのは間違いありません。
人間がやるべき仕事ができない上に、AIの方が仕事が圧倒的に早くて正確なんですから当たり前ですよね。
「ぶっちゃけいらないけど、リストラはできないし…」という感じになるでしょう。
また、能力的な2極化に加え、待遇も2極化していくことが予想されます。
当たり前ですが、「AIを使う側の職員」と「AIに支配される職員」とでは、価値が全く異なります。
にもかかわらず、いつまでも年功序列で給料を決めていたら、優秀な人は間違いなく公務員を辞めるでしょう。
となると、公務員にリストラがないことを前提に考えると、AIを使える職員とAIに支配される職員との間には給料にも明確な差をつけていく必要があります。
特に、将来的に人口減少と少子高齢化がどんどん進みます。
となると、経済も衰退して税収が減るので、公務員の給料も全体的に減っていくわけです。
それらを踏まえた上で、優秀な職員を残しておくためには、給料を2極化させていく流れは必然かなと考えられます。
②採用数の削減
これから公務員として採用される人は間違いなく減ります。
- AIの台頭によって、実質的に必要な公務員が減少する
- 人口減少&少子高齢化により、税収が減る
- リストラは基本的にしない可能性が高い
理由としてはこんな感じ。
つまり、リストラによって公務員を減らすことができない以上、新しく公務員になる人を減らして、全体の公務員数を少なくしていく他ないということ。
退職者>入庁者としていけば、職員数は年々減少していきますからね。
つまり、公務員試験の競争率が激化していくということですね。
まぁ将来的に公務員が不人気職業になる可能性だってもちろんありますし、人口減少から財政破綻して給料が大幅カットされる場合には、若手を中心に退職者が多数出ることだってあり得るのですが。
年長者ばかりの組織は正常とはいえませんし、活性化もしません。
エネルギッシュな若い力は組織のためにも必要不可欠なのですが、やはりリストラがないことを前提とすると、採用者数で調整するのが現実的ですね。
まとめ
今回の内容をまとめます。
- AI化が進んでも、公務員はリストラされない
- それは、公務員はAI導入がそもそも遅い上に、法律や条例を作っているのは公務員であるから
- ただ、AI化は遅かれ早かれやってきて、業務の圧倒的な効率化をもたらす
- 公務員の仕事にAIが導入されると、「AIを活用する公務員」と「AIに支配される公務員」の2極化が起き、待遇面でも差がつくはず
- 人口減少も相まって、採用者数も激減する
今回の記事内容では、「AIによって公務員がリストラされることはないけれど、2極化は避けられず、公務員の安定性は損なわれる」という旨を書きました。
ただ、本記事で書いたように「AIを活用する側の公務員」になれれば、非常に価値の高い人材として高い評価を得ることができます。
なので、これから公務員を目指す方には「仕事取られる…」とネガティブになるのではなく、「効率的に仕事ができる」「AIを活用した新しい施策ができる」とポジティブに考えていただきたいと思います!
今回は以上になります。ありがとうございました。