こんにちは!元公務員のHiroshiです。
いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、地方公務員の出世の最高峰ともいえる「部長」について取り上げます。
本記事の内容
- 県庁などの地方公務員において部長になる難しさ
- 地方公務員の部長の仕事内容について
- 部長の年収←1,000万円超
これから公務員になろうかなと思っている人・公務員に内定している人の中には、
「頑張って部長にまで出世したい!」
「部長ってどれくらいすごいの?」
と思っている人もいるでしょう。
本記事では、元県庁職員の僕の経験をもとに、地方公務員の部長について詳しくかいているので、ぜひ参考にしていただきたいです。
【県庁ほか】地方公務員で部長になるのは難しい?←同期トップに出世した人だけ

公務員の部長は、上には知事と副知事(or市長と副市長)しかいないポジションであり、民間でいう役員クラス。
地方公務員において、部長になるのは本当に難しいです。
「部長」は「部のトップ」であり、組織内の「部の数」と同数しかいないわけですから、当然といえば当然ですが。
どの自治体(県庁など)においても、「部」の数は10コくらい。
それに加えて行政委員会の長が部長級の職員が担当すると考えても、部長になれるのは20人くらいです。
県庁クラスの自治体になると、一般行政職の職員は数千人単位でいる(平均5,000人以上)のですが、その中の選ばれしトップ10人〜20人くらいが部長になることができます。
しかも、県庁などの部長には、国の官僚が出向してくるためのポストがいくつか用意されているのが通例です(例:商工部局の部長には経済産業省の官僚が出向して就く)。
つまり、実際に部長になれる職員の数は、実質的には部の数よりも少ないということですね。
まぁイメージ的に言うと、同期トップクラスに出世した数名だけが部長になれるといったところでしょうか。
部長になる地方公務員の出世の仕方
一例として、部長になる地方公務員がどんな流れで出世していくのか挙げます。
主事(入庁時・22歳)→主任(30歳)→係長(35歳)→主査(40代前半)→課長補佐(40代半ば)→総括課長補佐(40代後半)→課長級(40代後半)→課長(50歳)→次長(50代半ば)→部長(50代後半)
こちらは僕のいた県庁での例なのですが、他の県庁でも同じような感じでしょう。
部長になるくらい出世する人も、出世しない人も係長級くらいまでは横並びで昇進しますが、40歳くらいからかなり差がついていきますね。

なお、部長になるような地方公務員は、異動においてもいわゆる「出世コース」を歩みます。
- 財政課
- 人事課
- 企画課
- 秘書課
- 国・民間企業への出向
部長になるような有望な公務員は、このような部署を中心に異動していきますね。
実際、現役の部長をみても、財政課や人事課、秘書課などの経験者が大半を占めていた記憶です。

県庁等の地方公務員の部長の仕事内容について

- 部の重要な事務の承認・決済
- 議会での答弁
- 会合や式典などにおける挨拶
部長の業務内容はこんな感じ。(他にも知事からの支持を各課長に割り振ったりもしますが)
ちなみに、部長には個室が与えられる上に、秘書と部長車がつきます。
部の重要な業務の承認・決済
基本的に公務員の仕事は課長決済のものが多いのですが、より重要度の高いものについては部長決済になります。
僕がやった中だと、補助金の交付に関する仕事などですね。
課長まで承認を得てから(ハンコをもらってから)部長に説明をしに行きました。
また、事業の予算に関すること等はすべて部長のOKをもらわないといけません。
OKを出すということは、部全体の事業について把握していないといけませんし、部長の意向は非常に大きな影響を与えるので、非常に責任の大きなポストですね。
議会での答弁
部長ともなると、議会の本会議において答弁をします。
本会議における答弁は、議員が質問に応じて部長か知事のどちらかを答弁者として指名するのが通例であり、比較的重要度の低いものは部長が指名されることが多いですね。
そして、部長が答弁者として指名されると、担当課の職員と一緒に答弁書の内容を調整していく感じです。
(知事が答弁の際にも、部長が最終的にチェックをします)
会合や式典への参加・挨拶
部長ともなると、関係団体の会合や式典に来賓として呼ばれる機会が多くなります。
まぁ課長でも来賓として会合に行くことはあるのですが、より重要度の高いもの・他の来賓の地位が高い場合は部長出席ですね。
そして、部長が会合・式典に参加した際には、ほぼ100%挨拶をします。
また、部長が関係団体に持つ力はかなり大きいっぽいので、会合の参加者から次々にお酌をされますね。
(そして随行している職員は部長の酒を一滴も飲まず、車で部長を送り届けます)
まぁ総じて、部長は責任が大きいのはもちろん、発言の影響力も非常に強いものを持つポストだと言えますね。
自ら何か仕事をするということはほぼありませんが、議会や関係団体との付き合いも増えますし、部の意識決定権を握っているので、プレッシャーも大きいでしょう。
地方公務員の部長の年収について【県庁を例に】

部長になれるのは50代後半から。
50代の地方公務員の年収は平均すると800万円前後といったところなのですが、部長にまで上り詰めた公務員はどれくらいもらえるのか見ていきます。

こちらは群馬県庁のモデル年収になのですが、これを見る限り部長の年収は1,100万円程度となっていますね。
群馬県庁は年収の金額が全国平均に非常に近い(全国:660万円・群馬県庁:661万円)なので、これが一般的な県庁の年収水準だと考えてOKです。
つまり、県庁職員の場合は、同期トップで出世して部長にまで上り詰めると、年収が1,000万円ちょっとになるということ。

これを多いと見るか少ないと見るかは人それぞれですが、部長になる大変さ・部長になるまで&なってからの仕事量を考えると超少ないかなと個人的には思いますね。
前述のように、50代の公務員は平均(あまり出世していない場合)でも800万円くらいはもらえますからね。
まぁ部長にまで到達した場合は、自治体内の第3セクターや関係団体に理事などの役員として天下りすることはできますが、年収的には400万円くらいにまでガクッと落ちますし。
その意味で、地方公務員の部長は「名誉職」的な部分もあると言えるでしょう。
地方公務員の部長に関するまとめ

本記事の内容をまとめておきます。
- 県庁などの地方公務員で部長になれるのは、同期トップクラスに出世した数名だけ
- 県庁などの部長は、国の官僚が出向してくるためのポストが用意されているので、生え抜きで部長になるのは非常に難しい
- 部長の仕事は知事からの指示を各課長に伝えるほか、重要な業務の承認・決済や議会答弁、会合や式典への参加・挨拶などがある
- 50代後半で県庁の部長になると年収は1,000万円を超えるが、たいして出世しなくても800万円くらいの年収に到達する
民間だと「部長」がどれくらいの役職かはバラバラなので、そんなにすごいイメージがないという方もいるかもしれませんが、公務員の場合はトップクラスに出世した人達です。
ちなみに僕は、入庁前は部長がどれくらい出世した人なのかをよく分かっていなかったので、「俺でも部長にはなれるっしょ〜」と思っていました。笑
これから公務員になる人などは、部長を目指してぜひ頑張ってくださいね!
今回は以上になります。ありがとうございました。